宮崎早織

「本当に12人に入れて良かったと安心しています」

バスケットボール女子日本代表の中で、最もポジション争いが激しいと言われているのがポイントガードだ。そして、宮崎早織は圧倒的なスピードで相手を切り裂くドライブを武器に代表の座をつかみ取った。

宮崎は「目標は金メダルを取ることなので、それに貢献できるように頑張っていきたいと思います」と意気込むと同時に、熾烈なポイントガード争いを終えたことで安堵の表情を浮かべた。「本当に選んでいただけてうれしいですけど、やっぱりガードはずっと争奪戦だったので毎日苦しかったなって思います。本当に12人に入れて良かったと安心しています」

当然ながら、代表候補に選出されたメンバーには特化した武器があり、その持ち味はそれぞれで異なる。宮崎は自身の強みがスピードであることを深く理解し、他者との違いをこのように語った。「本当に一人ひとりが持っている持ち味が違っていて安間(志織)選手は町田(瑠唯)選手と似てゲームコントロールだったり、山本(麻衣)選手だったら若さ溢れるエネルギッシュなプレーだと思います。私は本当にスピードなので、自分のスピードをコート上で表現できたらいいなと思っています」

リオ五輪以来の世界大会に出場することになった渡嘉敷来夢とは、ENEOSサンフラワーズでコンビを組む仲だ。渡嘉敷はインサイドの要であり、そんな彼女と長い時間プレーしてきた経験は他のポイントガードにはない宮崎のアドバンテージとなる。それでも、代表と自チームのスタイルは異なるため、宮崎は自身のアグレッシブなプレーでチャンスメークをしていきたいと語った。

「タク(渡嘉敷)さんのところを一番に狙うのがENEOSの強みですけど、代表のバスケットはガードから始まってガードで終わることが多いです。積極的に自分が攻めることで良いポジションを取っているタクさんが空くと思っているので、そこは積極的に狙っていきたいです」

宮崎早織

「ムードメーカーのつもりでやっているわけでは全くないです(笑)」

プレータイムに多少の偏りはあるにせよ、日本はタイムシェアを駆使し、総力戦で相手を削っていくスタイルで頂点を目指していく。そのためには、誰もが限られた時間の中で持ち味を発揮する必要がある。当然のように流れが悪い時間帯も出てくるはずだが、そんな時こそスピードで攪乱し、ゲームチェンジャーの役割を果たしたいと宮崎は言う。

「良い流れの時も悪い流れの時もあると思いますけど、悪い時こそチームの流れを変えられたらいいなと思っています。自分がエネルギーを出して、スピード溢れるプレーをコート上で表現できるようにしたいです」

代表争いについて、以前からずっと「苦しい」と言っていた宮崎だが、試合前後には天真爛漫な笑顔を見せることが多い。FIBAのインタビューで、お笑い担当が誰かを聞かれたキャプテンの髙田真希は「常に彼女がいるところには笑顔や笑いがある。苦しい時でもチームが明るくいられるのはすごく大切なこと」と言い、宮崎の名前を挙げた。当の本人は「リツ(髙田)さんとか先輩方にちょっかいを出して、後輩たちにもちょっかいを出してみたいな感じで。ただちょっかいを出すのが好きなだけで、ムードメーカーのつもりでやっているわけでは全くないです(笑)」と自覚はないようだ。

それでも、髙田が言うように時にムードメーカーの存在はチームにポジティブな影響を与えることが多い。宮崎には自慢のスピードだけでなく、その明るさで日本の窮地を救ってもらいたい。