文・写真=泉誠一

「ハードワーク、リバウンド、チームワーク」が武器

鹿児島レブナイズからサンロッカーズ渋谷に移籍してきたチャド・ポスチュマス。B2では平均19.4点を挙げていた活躍通り、チーム最多となる18点9リバウンドを挙げる。試合も80-62で三遠ネオフェニックスを下し、デビュー戦を飾った。

この2週間の練習中、ヘッドコーチのBTテーブスは「ペイントエリア内の得点を増やし、ターンオーバーを減らすこと」を目的とし、徹底させてきた。この試合でペイントエリア内での得点は44点(三遠26点)、ターンオーバーは8本(三遠11本)に抑え、準備してきた通りのゲーム展開が勝因となった。

ペイントエリアを制したのも新加入のポスチュマス効果であり、テーブスの期待に応える。「チームメイトが合わせやすいようにお膳立てしてくれたので、本当に良い一日だった」と感想を述べたポスチュマス。最後に集まったホームのファンに「ハードワーク、リバウンド、チームワーク」とセールスポイントをアピールしていた。

B2との違いに関しては、「一番大きなところは日本人選手の能力の差」と言う。逆に外国籍選手は、NCAAディヴィジョン1を卒業したばかりのジョエル・ジェームス(ノースカロライナ大学~熊本ヴォルターズ)やキャメロン・リドリー(テキサス大学~広島ドラゴンフライズ)などB1と遜色ない相手とのマッチアップをこなしてきた。

「相手は若くてとにかくハードにプレーしてきたが、そこを逆に冷静にプレーすることができた」と話すように、B2で培ったプレイをそのままB1でも発揮し、結果につなげている。

三遠を警戒したSR渋谷の2-3ゾーンディフェンス

敗れた三遠のヘッドコーチである藤田弘輝は、「SR渋谷の伊藤(駿)選手や広瀬(健太)選手が2メンゲームでアグレッシブにアタックしてきた。SR渋谷の方が背も高く、手も長く、身体能力が高い。しっかりやるべきことを遂行しなければと戦えない」とコメントしており、ポスチュマスがB2から来て感じた差がB1内でも生じているようだ。

さらに三遠は、11月15日にリチャード・ロビーと契約解除したことで外国籍選手が1人少なかったこともあり、連戦の初戦で初めての黒星を喫した。

テーブスヘッドコーチが「シーズンを通して2-3ゾーンディフェンスがベースとなる」と言う、堅守からリバウンドを奪っての攻めで得点を重ねていく。終始敷かれたゾーンディフェンスに対し、藤田ヘッドコーチは「我々のマンツーマンオフェンスに対する敬意だと思っていた」とコメント。

その通り、テーブスヘッドコーチはもう一つの理由として「三遠の洗練されたマンツーマンオフェンスは素晴らしいところがある」と警戒していた。

元日立サンロッカーズ東京の一員であり、昨シーズンはbjリーグでプレーした鹿野洵生が、久しぶりにサンロッカーズファンの前に帰ってきた。「良いところを見せたかったですが、今日はそれができなかったです。もし、期待して応援に来ていただいた日立時代のファンの方がいたとしたら、そこは申し訳なかったです。非常にワクワクして臨んだだけに今日のパフォーマンスは自分自身もショックでした」と話しており、次戦でのリベンジを誓った。

SR渋谷の勝利で、この両チームは9勝6敗で並んだ。直接対決でSR渋谷が2勝1敗と勝ち越すことに成功し、中地区2位に浮上。明日の結果によっては再び順位が入れ替わるかもしれないSR渋谷vs三遠の4戦目は11月20日(日)14時ティップオフ。

会場には、2004年NBAドラフト1巡目全体6位でアトランタ・ホークスに指名された経歴を持つジョシュ・チルドレスがすでに三遠に帯同しており、会場で戦況を見守っている。