「目標にしていたワールドカップのメンバーに選ばれたことはすごくうれしい」
日本バスケットボール協会は9月8日に、今月下旬からシドニーで行われる『女子ワールドカップ2022』に挑む、12人の女子日本代表メンバーを発表した。
最終メンバーが決まる直前の第5次強化合宿の参加選手が13名だったことからも、直前まで選手選考に時間を費やしていたことが分かる。その選手選考の中でも最も激しい争いとなっていたポジションがポイントガードだ。
第5次強化合宿には、東京五輪組から本橋菜子、宮崎早織、3×3で東京五輪に出場した山本麻衣、そして昨シーズンはドイツリーグでプレーした安間志織の4人が参加。さらに恩塚亨ヘッドコーチは、東京五輪の準決勝フランス戦でオリンピックレコードを更新する18アシストを挙げ、今夏はWNBAに挑戦した町田瑠唯も候補に入っていることを明かしていた。
一般的に考えるとポイントガードの枠は3人。そのため選手たちはチームビルティングをしつつも、最後まで選考上にいる厳しい状況が続いたが、結果的には安間、宮崎、山本の3選手がワールドカップに挑むことになった。
その中でも安間は今回のワールドカップがキャリア初の大きな国際大会となる。2020-21シーズンのWリーグで安間はプレーオフMVPの活躍を見せ、当時所属していたトヨタ自動車アンテロープスをリーグ初優勝へと導いた。その活躍もあり、東京五輪に向けた強化合宿にも招集されていたが、あと一歩のところでメンバー入りを逃し、悔しい思いをしていた。
それだけに安間は「目標にしていたワールドカップのメンバーに選ばれたことは、すごくうれしいです」と素直な気持ちを語り、「これからは私らしいディフェンスをやりながら、チームにスピードあるプレーを持っていけたらと思います」とワールドカップに向けて意気込んだ。
「私もチームルールに従いながらチャンスがあればどんどん行けます」
安間の強みは冷静なゲームメークに勢いのあるドライブ、そして激しいディフェンスだ。それだけでなく、勝負どころでは自らシュートを決め切るなど、なんでもこなせるポイントガードだが、代表チームでは恩塚ヘッドコーチが求めるバスケットの下で、自身の強みを発揮しつつも仲間のプレーを引き出さなければならない。
安間自身もそのバランスの難しさを語る一方で、チームと時間をともにすることで目指すべき方向が見えてきたようだ。「このチームは全員がシュートを打てますし、たまにパスばかりを考えすぎちゃう時もあります。でも、チームを生かすためにも、まずは自分のチャンスを見つけるためにアタックする。そこでディフェンスが寄ったら良い判断をして良いパスをできたらなと思っています。本当に最初の頃よりは、『誰かがドライブしたらこう動く』というコミュニケーションを全員で取れています。まだまだ細かいところはありますけど、それぞれ思い切りの良いプレーはできていると思います」
そして、恩塚ヘッドコーチが求めるバスケットを理解してきた今だからこそ、「シュートチャンスがあれば恩さんも『打ってくれ』と言ってくれています。私もチームルールに従いながらチャンスがあればどんどん行けますし、『自信を持ってやってくれ』とも言ってくれているので、私の強みであるドライブも生きてくるのかなと思います」と手応えを続けた。
安間にとって初のワールドカップというだけでなく、この大会は2024年のパリ五輪にも繋がる重要な大会だ。それでも、安間は気負うことなく「こういう大きな国際大会は初めてなので、まずは楽しみながら、チームのために私ができることをやったら今後に繋がると思います。まずは目の前にあるこのワールドカップを本当にチームのためにしっかりと戦いたいです」と語った。
Wリーグ優勝を果たした後に、ドイツリーグに挑戦した安間がワールドカップという大舞台でも、彼女らしいプレーで日本を勝利に導いてくれることに期待したい。