スペイン代表

「すべての選手が得点し、全員が貢献した」

グループAの最終節では3勝1敗で並ぶスペイン代表とトルコ代表が対戦した。トルコのリードが最大で4点、スペインが6点と差の開かないロースコアの接戦。そこで明暗を分けたのは勝負どころを締める慎重さだった。

最終的にはスペインが接戦を制すのだが、前半の最後からトルコには緩みが見られた。全員がボールウォッチャーになったところでオフェンスリバウンドを押し込まれ、スイッチを促したビッグマンのセバスチャン・サイズに3ポイントシュートをブロックされるとそのまま走られ、ロレンツォ・ブラウンのイージーバスケットに繋げられた。最後のポゼッションもエントリーが上手くいかず、攻めの形を作れずに終わっている。

この反省を後半に生かすことができたら、勝敗は変わっていたかもしれない。第4クォーター終盤も1ポゼッション差で推移していたが、トルコは粘り強く守ってスペインに時間を使わせ、ショットクロックがないところで強引に打たせることに成功しながら、ここでボールウォッチャーになってしまってこぼれ球をシャビ・ロペスにタップで押し込まれてしまう。

ジェディ・オスマンのバスケット・カウントで差を詰めるも、次の攻めではオスマンとシェーン・ラーキンの緩慢な連携からボールを突っつかれてターンオーバーを記録。スペインではポイントガードのブラウンがこの手のイージーなミスをしなかったが、それは新戦力の彼を周囲がケアしていたからでもある。それに比べるとトルコはラーキンに預けっぱなしの部分が大きかった。

69-71と詰め寄った残り13秒、ラーキンの2投目のフリースローが外れた後も、スペインにあっさりとリバウンドを奪われた。ところがファウルゲームとなり相手の2投目のフリースローが外れた時には、スペインにこぼれ球をティップで繋がれ、貴重なポゼッションを奪われている。

最終スコアは69-72。オフェンスリバウンドで12-19、セカンドチャンスからの得点で7-19と差が付いたが、これは単純な高さとフィジカルのリバウンド力ではなく集中力の差だった。小さな差が勝敗を分けたが、スペインの集中力と互いにサポートし合う意識は試合を重ねるごとに向上しており、小さいようで簡単には埋められないものだ。

スペインは世代交代の最中にあるが、伝統的な強みは変わらない。セルジョ・スカリオーロは「すべての選手が得点し、全員が貢献した」と出場した11人全員がチームとして機能したことを一番の収穫に挙げ、「ミレニアム世代の3人が同時にコートに立つ時間帯も長かったし、これは我々の将来にとって良いことだ」と続ける。3人のミレニアム世代とはハイメ・プラディッラ、ジョエル・パラ、ウスマン・ガルーパで、このうちプラディッラとパラは東京オリンピックには参加していない。帰化選手として加わったブラウンも含め、新戦力がチームにフィットしているのがグループリーグの収穫となっている。

グループ1位を決めたことで、スペインは決勝トーナメント1回戦でリトアニアと対戦することに。トルコは1回戦でフランスと、ここに勝っても恐らく準々決勝ではセルビアと、厳しい山に入ることになった。