スコアリングガードとして、欧州での実績十分の大物選手
9月4日、アルバルク東京はトヨタ府中スポーツセンターで広島ドラゴンフライズとプレシーズンゲームを実施。3ポイントシュート成功率44%と、広島に効果的に外角シュートを決められ75-83で敗れたが、しっかりと収穫を得られた一戦となった。
その最たるものが、新たな正ポイントガードであるジャスティン・コブスのパフォーマンスだ。フィールドゴールは9本中3本成功とシュートタッチは良くなったが、27分22秒のプレータイムで9得点6アシスト4リバウンド3スティールを記録した。
191cmのコブスは昨シーズンのユーロカップで19試合に出場し、平均15.5得点、4.2アシストを記録した。帰化によるモンテネグロ代表としても、ワールドカップ2023予選でここまで4試合に出場し、平均18.3得点を挙げるなどその非凡な得点力が持ち味となっている。今回のプレーシーズンでは鋭いドライブからオープンになった味方へ、スピード、コントロールともに申し分のないキックアウトのパスを何本も出すなど、チャンスメーカーとして大きな存在感を見せていた。
振り返れば昨シーズンのA東京は、オフに安藤誓哉が島根スサノオマジックに移籍した。ライアン・ロシターを帰化枠で使うアドバンテージを用い、ポイントガードに外国籍のジョーダン・セオドアを獲得したが、メディカルチェックの結果を受け9月頭に契約を解除した。それを受けジョーダン・テイラーを補強したが、チームへの合流が遅れたことで連携不足のままでシーズン開幕を余儀なくされた。また、テイラーは途中で故障離脱し、46試合の出場に留まるなど、ポイントガードの部分で苦戦した。それだけにコブスが現段階からしっかりと練習を重ね、周囲とのケミストリーを構築して開幕を迎えることができるかは王座奪還の鍵を握る重要な要素だ。
田中の起用法について「ほとんどのケースで2番をしっかりこなしてほしい」
「バスケットボール選手として試合でプレーするのは楽しいです。良いチームメートと共に初めての練習試合をプレーできてよかったです。ただ、やはり負けたのは残念でした」。このようにA東京での初のプレシーズンゲームを振り返ったコブスは、開幕に向け次のことを意識して練習に取り組んでいるという。「まだ、来日して約1週間なのでチームのシステム、セットプレー、ヘッドコーチが求めているプレーを理解することが大事です。チームメートがどういうプレーをしてほしいのか探っている最中であり、練習を積み重ねてフィットできるように頑張っていきたいです」
また、Bリーグについては大学でのチームメートであったリチャード・ソロモンや、小寺ハミルトンゲイリー、ジョシュア・スミスなどからも聞いており、「とてもスキルがあり、得点能力の高いビッグマンが多い、ガードに関しては日本人選手はスピードのある選手が多いという情報を得ていました」と語った。
冒頭でも触れたが、「キャリア的には、スコアリングポイントガードが自分の役割です」と本人も言及するように、コブスは得点が取れる司令塔として活躍を続けている。ただ、A東京ではよりオールラウンドな貢献を目指していく。「ただ、今シーズンは、そこにゲームを作っていく役割もミックスされると思います。今はアシストをするか、点数を取りに行くべき場面なのか、まだまだ自分の中でもはっきりと分かっていないので学んでいきたい。ヘッドコーチが求めるプレーを徹底的にやっていきたいです」
昨シーズンのA東京は、田中大貴が1番ポジションを担う時間帯も少なくなかった。しかし、新指揮官のデイニアス・アドマイティスは、今シーズンの田中については本職の2番を主体とする意向だ。「1番、3番ポジションでも使えるので対戦相手によってはスライドして起用することもありえます。ただ、チームの状況にもよりますが、今のところほとんどのケースで2番ポジションをしっかりこなして欲しい。ボールマンとして技術は非常に高いので、得点をどんどん挙げていってほしいと思います」
田中を2番固定とするためには、コブスが司令塔のポジションでがっちりとハマることが欠かせない。新生アルバルクを象徴する存在として、コブスがどんなプレーを開幕から見せてくれるか、注目していきたい。