ユドニス・ハズレム

「僕は次の世代のために犠牲になっている」

今年42歳を迎えた大ベテラン、ヒートのユドニス・ハズレムは昨年8月に他界した父親がNBAキャリア20年を望んでいたこともあり、現役続行を決断した。

全盛期を過ぎているハズレムは2016-17シーズンから出場機会が激減し、昨シーズンは平均6.4分のプレータイムで13試合に出場したのみ。チームがハズレムをコート上での戦力として見ていないのは明らかだが、それでも彼と契約し続けるのは試合の準備の仕方や立ち振る舞いなど、彼の人間性が優れているからに他ならない。特に規律を重んじるヒートは、ハズレムのようなリーダーの存在を重宝している。

ハズレムも自身の役割を理解しており、「僕はヒート文化の担い手」と言う。「僕は次の世代のために犠牲になっている。真剣に取り組んできた。これはゲームではないし、ジョークでもない。僕が救われたように、ここの文化がたくさんの人々を救ってきたのを見てきたんだ」

信頼を勝ち取るには、プレーで結果を残すことが必要だ。チームメートのジミー・バトラーはストイックに自身を追い込み、スキルを向上させ、一歩ずつ成長を遂げたことで現在の地位を確立した。刺さる言葉でリーダーシップを発揮するタイプもいるが、ハズレムはバトラーを例に出し、リーダーは言葉よりも行動で示すことが大事だと強調した。

「僕やジミーのようなリーダーが必要だ。行動はリーダーシップが反映される。『バブル』での僕たちのアプローチを見れば分かると思うけど、僕らは友達を作ろうとしなかった。妻が来られるようになるまで自分の部屋から出なかったし、ベッドではなくソファで寝た。ジミーもソファで寝ていたけど、自然とそうなったんだ。自宅であるかのように、快適な環境を求めたくなかった。目の前のタスクに集中するためにもソファで寝たんだ」

ハズレムは現役続行を決断したことで、NBAレジェンドのコービー・ブライアントとダーク・ノビツキーに続き、1つのチームでキャリア20年以上を過ごす3人目の選手となったが、来シーズン限りでの引退も同時に表明している。ヒート文化の伝承者の最後の雄姿を目に焼き付けたい。