アウェーでレバノンに敗れるも「チーム全体がよく頑張った」
8月25日のワールドカップ予選で、ジョーダン・クラークソンがフィリピン代表でデビューを果たした。ジャズでNBA8シーズンのキャリアを持つクラークソンは、母親がフィリピン人であり、かねてからフィリピン代表入りが期待されていた。過去に2018年のアジア競技大会には参加したものの、FIBAの国際大会でのプレーは今回が初となった。
フィリピン代表としてはフィリピン人としてプレーさせたかったが、FIBAは帰化選手としての登録しか認めなかった。帰化選手の登録は1人までで、長くフィリピン代表を支えてきたアンドレイ・ブラッチェのような選手が使えなくなるが、今回フィリピン代表はこれを受け入れ、クラークソンのデビューが実現した。
先月行われたアジアカップ決勝でオーストラリアに惜敗したものの準優勝となり、勢いに乗るレバノンが相手。しかもアウェーゲームとあって苦戦は仕方なかった。81-85で敗れ、クラークソンの代表デビュー戦を勝利で飾ることはできなかったが、そのレバノンに最後まで食らい付く大接戦を演じた。
ジャズではシックスマン賞を受賞しているクラークソンだが、フィリピン代表ではもちろん先発出場で、デビュー戦ながらプレータイムは37分とほぼフル出場。27得点6リバウンド7アシストのスタッツ以上に、コート上でリーダーシップを取り、プレーで周囲を引っ張る姿勢が目立った。
試合後の会見でクラークソンは「良い戦いができた」と明るい表情を見せた。「ターンオーバーがこれだけ多いと(21)、特にアウェーの試合では勝つのは難しい。それでも、僕らには明るい未来が待っていると感じたよ。ドワイトは本当に良いプレーをしたし、カイもよく戦った。チーム全体がよく頑張ったと思う」
クラークソンが名前を挙げた2人は、いずれも今後のフィリピン代表を背負う逸材だ。アンダー世代の代表で大活躍したカイ・ソットは現在20歳、久々のA代表での試合で先発起用され10得点8リバウンドを記録している。富山グラウジーズでプレーし、このオフにレバンガ北海道へ移籍した23歳のドワイト・ラモスはクラークソンに次ぐ18得点、チームハイの10リバウンドに6アシストと攻守に素晴らしいパフォーマンスを見せた。
フィリピンは来年のワールドカップ開催国の一つで、ここで結果を出すべくチーム強化に全力を挙げている。その決め手となるクラークソンが、代表デビュー戦で個人として素晴らしいパフォーマンスを見せたのはもちろん、チーム全体のムードを盛り上げている。8月29日にマニラで行われるサウジアラビア戦では、さらに良いステップを踏むことができそうだ。