北GMは ハンドラー不足を補うオールラウンダーと期待
川崎ブレイブサンダースの新加入選手マイケル・ヤングジュニアが、北卓也GMと共に入団会見を行った。NCAA1部のピッツバーグ大4年時には1試合平均19.6得点、6.8リバウンド、2.7アシストを記録。その後、Gリーグを経て、過去4シーズンは欧州を中心にアジア、中南米の計7カ国でプレーしてきた27歳のヤングについて、北GMは「一言でいえばオールラウンダーです」と評し、彼を獲得した理由を次のように続けた。
「昨シーズン、平均得点ではリーグ1位でしたが、ニック(ファジーカス)がベンチにいる時、得点が止まる時間帯が出て、そこをどうにか改善できないか。得点が止まると、どうしても流れが悪くなることがあるので、攻撃の起点になれる選手を求めていました。ヤング選手はインサイド、アウトサイドの両方で得点が取れ、パスもうまいのでシューター陣を生かしてくれる。攻撃のバリエーションが増えることを期待しています。ディフェンスもインサイド、アウトサイドを共に守れるので、攻撃的なディフェンスが機能すると思っています」
さらに北GMは、ヤングがハンドラー役を担えることの大きさをこのように語った。「うちのシステムはピック&ロール主体ですが、昨シーズンはハンドラーが藤井(祐眞)、篠山(竜青)しかいなかったので、少し苦労する時間帯がありました。ここにハンドラーができるマイケル選手、納見(悠仁)選手が加入したのでハンドラーの引き出しも増えると思います」
今回が日本で初めてのプレーとなるヤングだが、Bリーグとの接点は昔からあったと明かす。「大学を卒業した時点でBリーグのチームからオファーがありました。ただ、プロ1年目はウィザーズと2ウェイ契約を選び、翌年もBリーグからオファーがありましたがヨーロッパでプレーしたかったのでそちらに行きました。また、リチャード・ソロモン、LJ・ピーク、ディージェイ・ニュービルといった選手たちは知り合いで、Bリーグの存在自体はずっと知っていました」
そして近年、リーグが成長を続けていることも知っており、川崎からオファーが来た時は「Bリーグであり、川崎については良い話しか聞いていなかったです。だからエージェントに川崎からオファーが来たと聞いた時は迷うことなく決めました」と語る。
今オフもチーム編成は継続路線となった川崎において、昨シーズンから変わる主力メンバーは長崎ヴェルカに移籍したパブロ・アギラールと入れ替わる形で加入するヤングのみ。だからこそ、ヤングがどこまでフィットするかはシーズンの明暗を分ける大きな鍵となる。北GMは、アギラールとの違い、ヤングの持ち味をこう解説する。
「パブロは起点というより合わせのプレーを得意とし、ディフェンスを頑張るタイプでした。もちろん影の活躍とかも含めてチームへの貢献は大きかったですが、攻撃の起点のところが、ビッグマンではニックだけだったのでどうにか改善したいとマイケル選手に声をかけました。まだ、彼はチーム練習を2回やっただけですが、オフェンス、ディフェンスともによりスピード感溢れるバスケットが展開できそうな感覚はあります。また、プレー映像を見た感じでは、もう少し背が低いと思っていましたが、想像していたより高かったのはうれしいです。この身長であれだけのクイックネス、スピードがある点でも期待しています」
そしてヤングは、新シーズンへの意気込みをこのように語る。「チームが掲げている目標でもありますが、天皇杯優勝、地区優勝、リーグ優勝の3つをしっかりと達成したい。昨シーズン、天皇杯優勝をしているのは知っているので3連覇に貢献していく。チームと自分の目標が合致し、同じ方向を向いて目標を達成できるように頑張っていきたいです」
藤井、ファジーカスの両輪を軸に阿吽の呼吸によるチームバスケットを展開する川崎において、ヤングがどんな変化を起こせるのか。リーグの優勝争いにも大きな影響を与えるだけに、彼の実戦デビューが待ち遠しい。