アンドレ・ドラモンド

3ポイントシュートは打てなくても、しぶとく泥臭く

アンドレ・ドラモンドはブルズと2年契約を結び、NBA11年目のシーズンに備えている。2012年のNBAドラフトで1巡目9位指名を受けて入団したピストンズで7シーズン半プレー。ここまでが彼の全盛期で、2019-20シーズン途中に再建中のキャバリアーズにトレードされた後は、レイカーズ、セブンティシクサーズ、ネッツと強豪チームを渡り歩いているが、大きなインパクトは残せていない。

NBAは3ポイントシュート全盛の時期を過ぎ、当たり前のものとして定着した。これまでのキャリアで試投数わずか114本、成功率13%のドラモンドは3ポイントシュートを打てない選手の典型で、そのプレースタイルは古臭いものとなっている。しかし、彼はそれを自覚しながらも、自分にできるプレーに徹するつもりだ。

オフを利用して母校のコネチカット大学で子供たちのバスケクリニックを開催した彼は、「僕にとっては楽しい旅だ」とキャリアを語る。「8年を過ごしたデトロイトは大好きな場所だった。でも、違う街を知り、違うチームに所属することは、異なる文化を体験する楽しい時間なんだ」

まだ29歳で老け込む年齢ではない。身体も動く。彼は自分のNBAキャリアをより良いものにするために、課題の克服ではなく長所を伸ばそうとしている。

「引退する時に、NBA史上最高のリバウンダーとして記録されたい」というのがドラモンドの願いだ。器用に振る舞うのではなく、泥臭くファイトしてボールに食らい付く。「毎朝6時に体育館に来て、夜の8時か9時まではいた」というコネチカット大での経験が、その習慣を身に着けさせた。

3ポイントシュートは打てない。それでも3シーズン連続でリバウンド王となり、ブロックショットも強く、リムプロテクターとしての存在感はいまだリーグトップレベルだ。ブルズのユニフォームを着て『史上最高』を目指すとなれば、デニス・ロッドマンと比較されることになるだろうが、ドラモンドはそれを承知の上で目標を語っているはず。ブルズは昨シーズンの大型補強で華やかなオフェンスのチームとなったが、ここにドラモンドの愚直なハードワーク、リムプロテクト能力が噛み合えば、さらなる進化が期待できそうだ。