エドニーシャ・カリー

昨シーズンから、トレイルブレイザーズのアシスタントコーチを務める

9月2日に開幕するアメリカップでヴァージン諸島を率いるのはエドニーシャ・カリーだ。アメリカップの歴史において初めて男子のチームを率いる女性ヘッドコーチになる。

カリーはロサンゼルスで生まれ育ったアメリカ人。2002年にWNBAドラフトで指名を受けて、ポイントガードとしてフェニックス・マーキュリーとロサンゼルス・スパークスでプレー。2009年に現役を引退すると指導者に転身し、スキルコーチとして海外で経験を積んだ。2015年からはメイン大学の女子バスケットボール部のアシスタントコーチとなり、2018年からは男子チームも担当するようになった。

そして昨年夏に彼女はNBAの世界にも足を踏み入れる。トレイルブレイザーズのヘッドコーチに就任したチャウンシー・ビラップスが彼女の手腕を見込んで、アシスタントコーチのオファーを出したのだ。『NBA.com』の取材に対してカリーは「チャウンシーから電話をもらって、最初はイライラした。ビラップスのピストンズにNBAファイナルで負けた悔しさを思い出した。レイカーズファンにとっては忘れられない悪夢だから」と冗談交じりで語るが、彼女のキャリアにとって大きなチャンスなのは間違いない。

「コーチするのが男性でも女性でも、そこに違いはない」というのが、指導者としてのカリーの信条だ。ただ、自分がパイオニアの一人として、女性コーチの活躍の場を作り出す立場にいることは自覚している。

「ヴァージン諸島の男子代表チームのヘッドコーチとして歴史を作る、その役割を与えられたことは光栄だし、興奮しています」とカリーは言う。「男子チームを指導できる、才能ある女性コーチは世界中にたくさんいます。今後、より多くの代表チームが続くことを願っています」

アメリカップで結果を出すのは簡単ではない。ヴァージン諸島は昨年秋から始まったワールドカップ予選で6戦全敗を喫し、1次リーグ敗退が決まっている。アメリカップ参加12チームで世界ランキング57位は下から2番目。グループリーグではアルゼンチン(7位)、ドミニカ共和国(20位)、プエルトリコ(19位)と、はるか格上との対戦が続く。

それでもカリーはヴァージン諸島の男子代表チームとともに意欲的な挑戦に乗り出す。「このアメリカップで、チームは世界のバスケファミリーから尊敬を集めるための新たな一歩を踏み出します。キープレーヤーになるベテラン、才能ある若手、ロールプレーヤーとバランスの良いロスターができました。選手たちはやる気に満ちています」

4位と大健闘した2017年の前回大会の再現を果たせるか。またカリーの下でチームがどのようなスタートを切るのか。優勝候補ではないため注目度は低いが、ヴァージン諸島の挑戦に注目したい。