イグダーラ「チームが強過ぎると思われている以上、無理」
10月24日のウィザーズ戦で圧巻の3ポイントシュート・ショーを披露したステフィン・カリーが、キャリア3回目のシーズンMVP受賞に意欲を見せている。
ウィザーズ戦の第3クォーター終了までに16本中11本の3ポイントシュートを成功させて51得点をマークしたカリーは、5試合を終えた時点で平均34.6得点、6.8アシスト、フィールドゴール成功率55%、3ポイントシュート成功率52.4%を記録。これらの数字はNBA史上初となる満場一致でMVPに選出された2015-16シーズン開幕5試合でのスタッツを上回っている。
NBA史上シーズンMVPを3回以上受賞した選手は、カリーム・アブドゥル・ジャバー(6回)、マイケル・ジョーダン(5回)、ビル・ラッセル(5回)、ウィルト・チェンバレン(4回)、レブロン・ジェームズ(4回)、ラリー・バード(3回)、マジック・ジョンソン(3回)、モーゼス・マローン(3回)の8人しかいない。カリーは「3回以上のMVP受賞を成し遂げた顔ぶれを考えれば、とても特別なことだね」と語り、こう続けた。
「自分でも考えたことがなかったけれどね。ただ、試合ごとに集中するだけだし、自分自身を保って、やるべきことをやらないといけない。MVPに関する議論は、自然と起こるもの。僕が前に受賞した2シーズンの時のようにね。僕としては、世間の人に今NBAで何が起こっているかを見てもらいたい。特に、チームの全員が毎試合を楽しんで、互いの成功を喜び合っているということを。それがこのチームを特別な存在にしているんだ」
だが、カリーのシーズンMVP受賞を阻む障害となるのは、他の誰でもないウォリアーズだ。カリーを含め、ケビン・デュラント、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーン、デマーカス・カズンズというオールスター5選手を擁し、スリー・ピート(3連覇)は確実と言われている状況では、ウォリアーズからシーズンMVPが選出される可能性は低い。カリー、もしくはデュラントがどれだけ良いスタッツを残したとしても、最終候補にすら選出されない可能性もある。アンドレ・イグダーラも「自分たちはNBAにとって悪しき存在のように見られているし、ステフの受賞はない」と、『The Athletic』に語っている。「自分は、彼がリーグでベストのポイントガードだと思っているし、可能なだけ個人賞を受賞してもらいたいと思っているけれど、周りからチームが強過ぎると思われている以上、無理だね」
イグダーラと異なる意見を持っているのは、2014年のMVP受賞者であるデュラントだ。同じく『The Athletic』から、『スーパーチーム』からのMVP受賞者が現れると思うかを聞かれると、「コート上で起こっていることに目を向ければ、あり得ると思う」と返答。「世論も大きな役割を担う。最近のMVPは、台頭する新たなスター選手に贈られる賞のように思える。でも、本来MVPは、今夜のステフのような活躍をして、世論を変えられるような選手が受賞すべき。投票権を持つメディアは、何度かMVPを受賞している選手に票を入れない傾向があるのは分かっている。もちろん悪意がないことは分かっているけれど、彼らは次のスターを探している節がある。そう考えている連中の目を覚まさせないといけない。今日の試合で、ステフは間違いなくそういうプレーをした」
デュラントが加わった2016-17シーズンから、カリーはチームのバランスを重視し、一歩退いてプレーしているという印象が強い。2連覇中のウォリアーズだが、2年続けてNBAファイナルMVPに輝いたのがデュラントだったことからも、カリーの変化が見て取れる。
主力に負傷者が続出しない限り、今シーズンもウォリアーズが優勝候補筆頭なのは間違いない。今後はデュラント、トンプソン、グリーンらがウォリアーズを引っ張り、チームの勝利に貢献する試合もあるだろう。しかし、もしカリーがウィザーズ戦のようなパフォーマンスを続ければ、ウォリアーズ否定派の考えも変わるかもしれない。超絶パフォーマンスを続けてチームに対する見方を打破できた時、カリーの3回目のMVP受賞が現実味を帯びてくるはずだ。