鵜澤潤

文・写真=鈴木栄一

「いつでもプレーできる準備はしているつもりです」

10月24日、新潟アルビレックスBBは敵地での横浜ビー・コルセアーズ戦に88-72で快勝した。この試合、新潟は開始直後にラモント・ハミルトンが負傷退場し、試合を通して外国籍オン・ザ・コート「1」でプレー。一方の横浜は、帰化選手のエドワード・モリスを含めると実質的なオン「3」のラインアップを積極的に起用していた。しかし、このサイズで不利な状況にあっても、新潟はゴール下で劣勢となることがなかった。

これは試合残りの30秒でベンチに下がるまで出ずっぱりで、39得点16リバウンドと大暴れだったダバンテ・ガードナーの存在があってこそだが、忘れてはならないのが日本人ビックマン、鵜澤潤の貢献だ。シーズン最長となる約25分の出場で8得点3リバンド3アシストをマーク。横浜のゾーンディフェンスの隙間に巧みにポジション取りし、攻撃の良いアクセントになるだけでなく、守備でも身体を張ってスタッツに残らない部分での堅守と、いぶし銀の働きを見せた。

ティップオフから数秒という予想外の交代出場となれば、スムーズに試合に入るのは簡単なことではない。しかし、経験豊富なベテランは、すぐに気持ちを作ることができたと言う。「起きてしまったことは仕方がないですし、このトラブルをチームで乗り切らないといけない。ラモントがもう無理そうだと確認できた時点で、すぐにプレーしないといけないことは分かっていました。そして、いつでもプレーできる準備はしているつもりです」

そして、自身のパフォーマンスについては「決して満足はしていないですけど、チームにプラスになる働きを少しはできたと思います。とりあえず簡単にリバウンドを取られない。マークする選手にリングの近くでなるべくボールを持たせないように意識しました」と振り返る。

鵜澤潤

「まだまだ輝ける瞬間があることを見せたい」

この大きなトラブルを乗り越えての勝利について、鵜澤はチームにとって大きな意味を持つものと考える。「これは僕らにとって大きなチャレンジ。オン3vsオン1のような状況で、ここを乗り切ればチームとしてステップアップできると思っていました。そして、試合に出場した選手がそれぞれしっかり仕事をしました。この1勝は大きいです」

また、オン1でオン3の相手に勝ったことについて「自分の存在感を示したい。帰化選手がいなくとも日本人でやれるというところを見せたいと思っています」と日本人ビッグマンとしての矜持を語る。

さらに鵜澤は同じ1981年生まれの柏木真介、1980年生まれの五十嵐圭とリーグでも有数のベテラントリオの一員として「もう一つ付け足すのであれば、こんな年寄りでもやれるところを示したい。ウチは柏木、圭さんと大ベテランと呼ばれる選手がいますが、まだまだ輝ける瞬間があることを見せたいです」と続けている。

新潟は今週末、ホームで三遠ネオフェニックスを迎え撃つ。「連敗を止めたので、ここから連勝を始められるように頑張りたい」と意気込みを語る鵜澤にとって、日曜日となる28日は37歳の誕生日となる。ハミルトンのケガの具合が不透明な中、何よりの誕生日プレゼントとなる勝利をつかむためには、鵜澤自身の奮闘も大切となってくる。