「ヤクチャリ選手をシャットアウトして、流れを止められるように」
バスケットボール男子日本代表は8月13日、14日とイランを相手に強化試合を行う。イランには先月に行われたアジアカップのグループリーグで76-88と敗れたばかりで、さらに今月末に開催されるワールドカップ予選Window4でもアウェーで対戦する。それだけに公式戦ではないとはいえ、内容だけでなくしっかりと結果を残していきたいところだ。
現在の代表合宿に参加している16名には、6名のアジアカップ代表組がおり、河村勇輝もその中の一人だ。前日練習後の会見に登場した河村は前回の敗因をこう振り返る。「アジアカップのイラン戦では、トム(ホーバス)さんのバスケを遂行することができなかったです。特にスイッチディフェンスをされた時の対応がうまくできずにパッシングの面でボールが止まってしまうことが多かったです」
だからこそ、前回の課題をどこまで改善できるのか、絶好の試金石になると河村は考えている。「そこからスイッチブレイクの準備をしてきたので、前回のイラン戦でできなかったことを遂行できるのか、同じ相手に試せるのは良い機会だと思います」
今回のメンバーはホーバス体制になってから初の日本代表となる馬場雄大に加え、Window1以来となる比江島慎など久しぶりのメンバーも多い。一方の河村はディベロップメントキャンプから2カ月以上に渡ってホーバスの下でプレーしており、指揮官の求めるバスケットボールへの理解度ではチーム屈指と自負を持っている。そして司令塔というポジションもあり、自身の役割をこのように語った。
「ずっとこの2カ月やってきて、トムさんのバスケットをよく理解している選手の一人だと思っています。若手ですが、プレーの中ではリーダーシップを発揮していきたい。個人的にはアグレッシブなディフェンス、ドライブからのキックアウトはずっと変わらない自分の役割なので、そこはブレずにやっていきたいです」
ホーバスのスタイルは3ポイントシュートをどんどん打っていくことが代名詞となっている。それでも河村は、「空いたらすかさず狙っていくことは大事です。ただ、自分が3ポイントシュートを多投するのは違うと思います」と、針の穴を通すピンポイントパスで味方を生かすパサーの役割を重視している。
アジアカップのイラン戦で河村は8分35秒のプレータイムに留まった。そこに対する悔しさはもちろんあるだろうが、「あのイラン戦で自分はあまりプレータイムがもらえなかったですが、出られなかったのには理由があります。自分のアグレッシブな守備で空回りしていた部分がありました」と、原因についてはしっかり把握している。
だからこそ、明日からの2連戦では「特にキーマンとなる(ベナム・)ヤクチャリ選手を自分がしっかりシャットアウトして、イランの流れを止められるように頑張りたいです」と、決意を新たにしている。華麗なパスと高速ドライブが代名詞の河村だが、サイズの不利を感じさせない平面での激しいプレッシャーディフェンスにもしっかりと注目していきたい。