恩塚亨

「高いエネルギーでプレーし続けたことが得点差を広げることに繋がった」

ラトビアとの国際強化試合第1戦に臨んだバスケットボール女子日本代表は、武器である3ポイントシュートになかなか当たりが来ないことで苦戦を強いられたが、もう一つの武器である激しいディフェンスとトランジションオフェンスが機能し、83-54で勝利した。

恩塚亨ヘッドコーチは試合後「今までトレーニングしてきたことを、選手自身の判断でコート上で表現することをテーマに戦いに臨みました」と、この試合での狙いを語った。「オフェンスでは流れの中で手間を省き、早い段階で相手を破る。ディフェンスでは高い位置から相手を削り、相手のやりたいことをさせず40分間トータルして相手を疲弊させて自分たちのゲームにしていこうとしました。3ポイントシュートががなかなか入らない中でも、ディフェンスで流れをゲーム中に作っていけた。高いエネルギーでプレーし続けたことが後半に得点差を広げることに繋がりました」

日本はラトビアから33ものターンオーバーを誘発し、そのプレッシャーディフェンスの威力を証明。また、オフェンスリバウンドの本数でも11-8で上回り、チームバスケットの強さを見せつけた。それでも、最大の武器である3ポイントシュートは前半終了時点で16本中わずか1本の成功に終わり、後半に巻き返したものの合計で36本中8本の成功(22.2%)と精度に苦しんだ。もちろん、シュートは水物と言われ、入らない時はとことん入らない時もある。だが、ワールドカップで優勝を狙う日本にとっては、水物の一言で片付けられない問題でもある。

恩塚ヘッドコーチも「乱れる原因が必ずあると思うので、その原因を分析してコーチしていくことが課題となる」と言い、さらにコーチングに不備があったのではと自身を責めた。「このまま打っていいのかなと迷っている選手がいた時に、私自身が背中を押すような言葉をかけてあげられていたらと思っています。気負ってほしくないですし、明日は信じて良い状態で打ってもらえるようにしていきたい」

3ポイントシュートに課題を残したものの、逆を言えば、一つの武器を失ったとしても崩れない強さがあることを証明した試合になったと言える。速攻や合わせのプレーが光り、イージーシュートの場面が多く見られたことで、2点のフィールドゴール成功率は59.5%を記録した。これは選手自身の判断で最も効率的なプレーが選択できていることを意味する。

だからこそ恩塚ヘッドコーチも「こういう時にこうするという最適解は選手たちにしっかり入っている」と評価し、「プレーの成果がどのタイミングで出るか難しいものがあるものの、それをチャレンジする中で表現できたことに対して、価値のあるゲームだったと思っています」と締めた。