政治がスポーツに邪な形で介入、バイデン大統領はロシアを非難
アメリカ代表とWNBAのスター選手、ブリトニー・グライナーは昨年2月からロシアで拘束されている。2月にロシアのプロリーグでプレーするためにロシアに入国しようとした空港で、グライナーは大麻成分を含んだ電子タバコのカートリッジを所持していた容疑で逮捕された。
公判がスタートしたのは7月で、8月4日になって禁固9年の実刑が科せられた。公判においてグライナーは罪を認めているが、「意図的なもので、法律に反するつもりはなかった」と証言している。
有罪判決が出たことにジョー・バイデン大統領は「容認できるものではない」とロシアを非難し、解放するよう求めるとともに、今後は交渉されるであろうアメリカとロシアの間で拘束者交換について「あらゆる手段を探る」と、グライナーの帰国に動く意向を表明した。拘束者の交換相手としては、ロシアの武器商品の名前が挙がっているようだ。
ロシア国内での薬物保持は禁固10年が最大の刑罰となるが、実際はほとんどが5年未満とのこと。そう考えると彼女に科された9年の刑は重すぎる。グライナーの弁護人は「厳しすぎる。彼女は政治的な人質となっている」と不当判決を訴えた。アメリカ国務長官のアントニー・ブリンケンも、ロシアが政治的なカードとして使うためにグライナーを拘束していると非難している。
この判決を受け、NBAのアダム・シルバー、WNBAのキャシー・エンゲルバート両コミッショナーは連名でコメントを発表し、「この判決は不当かつ残念なものだが、想定されたものだった。WNBAとNBAはグライナーが安全に帰国するための責任を揺るがず負っていく」との意思を示している。
法廷でのグライナーは「私の人生を終わらせないでほしい」と語っている。今回のケースは政治がスポーツに邪な形で介入したもので、早期解決がなされるべきだ。それだけではなく、グライナーがこのトラウマを払拭してコート上でかつての素晴らしいプレーを再び見せてくれることを願いたい。