アダム・シルバー

「チームは選手に金額を保証し、その見返りとして選手は契約の責任を果たす」

NBAコミッショナーのアダム・シルバーは、今オフのケビン・デュラントなどスター選手が契約途中にトレードを要求することを好ましく思っていない。ラスベガスで開催されたオーナー会議後の会見で、シルバーはデュラントの件を聞かれると「私たちは選手のトレード要求が通ってしまうことを見るのは、好きではない」と答えた。

現在のNBAにおいて一部のスター選手たちは強力なパワー持っており、今回のデュラントに限らず彼らがトレードを要求すると、最終的にはチーム側が認めざるを得ない状況が続いている。だが、シルバーは「これは双方向でなければいけない。チームは選手に莫大な金額を保証している。その見返りとして選手は契約の責任を果たすことが期待されている」と主張した。

また、シルバーは「常に選手、代理人、チームの間では密室での会談が行われているのが現実」と言い、契約途中でチームと選手の関係が悪化し、選手が移籍を望むケースが起こることは致し方ないとも考えている。ただ、そうなった場合でも、選手と代理人がメディアなどを介して移籍希望を明らかにするやり方には否定的だ。

そして、この問題については、これから選手会と協力して取り組んでいきたい考えだ。「次回の労使協定における話し合いの中で、選手会と改善に向けてできることがあるか議論をしていきたい。すべての選手が不満を抱くことがない状況にはなり得ないが、それでも今のような展開にはしたくない」

毎年のように繰り返されるスター選手のトレード要求は大きくメディアに取り上げられ、リーグの露出を高める一つの大きな要素でもある。ただ、シルバーが「スター選手たちが移籍要求を行うと他の多くの選手たち、他のチームにも波及してしまう」と言うように、一人のエゴに多くの人々のキャリアが翻弄されるのも事実だ。それも含めて弱肉強食のプロスポーツの世界ともいえるが、コミッショナーが現状を変えたいのは明らかだ。