ジミー・バトラー

写真=Getty Images

「コートでの努力についてはリスペクトしてもらいたい」

ティンバーウルブズのファンは、ホーム開幕戦でチームにトレードを要求したジミー・バトラーを大ブーイングで迎えた。しかし、試合が進むにつれて、そのブーイングは「MVP!」というチャントに変わっていった。

10月19日にターゲット・センターで行なわれたキャバリアーズとのホーム開幕戦で、バトラーは33得点7リバウンド3アシスト4スティール2ブロックをあげ、131-123での勝利に貢献した。試合後、ファンからのリアクションについて聞かれたバトラーは「俺を嫌うのは構わない。でも、コートでの努力についてはリスペクトしてもらいたい」とコメント。「ブーイングしてくれて全然構わない。声援を送ってくれても、何の反応もなくたって構わない。俺にはチームの勝利のためにハードにプレーするという仕事があるんだ」と続けた。

積極的にウルブズと交渉を続けていたヒートも、球団社長のパット・ライリーが交渉を取り止め、撤退したことを球団の広報を通じて発表するなど、トレードに関してはまとまる気配はまったくない。少なくとも近日中にバトラーが退団する可能性は、極めてゼロに近くなった。

ウルブズのチーム力について聞かれたバトラーは「分からない。でも、大量点を決める力はある。もちろん、守備面を含めて改善点はたくさんあるけれどね」と答えた。

ファンやメディアの批判をまったく意に介していないバトラーにも、譲れないことはある。それは、全力プレーに対するリスペクトの念だ。バトラーは言う。「自分のことを好きになってもらっても、嫌いになってくれても構わない。ただ、コートでの努力に関してはリスペクトしてもらいたい。気持ちの部分で問題なければ、俺はチーム、チームメートのために全力でプレーする」

たとえ近日中にトレードが成立しなくても、ウルブズは今後も交渉を続けるだろう。そして今シーズン終了後に移籍するというバトラーの考えも変わっていない。同じような状況でベストパフォーマンスを発揮できない選手は多いだろうが、バトラーは違う。「何度も言うけれど、俺は勝つためにプレーしているんだ。『あの選手は全力を尽くしていない』なんて、絶対に誰にも言わせない。腹が立つ時もある。嘘は言わない。腹が立つ時もあるけれど、ハートと気持ちを込めて、勝つためにやっているんだ」

トレーニングキャンプ前に発覚したトレード要求により、チーム内の雰囲気は悪くなると見られていた。だがバトラーのハッスルプレーは、チームに闘志を与えている。第2クォーターには、不仲が噂されるカール・アンソニー・タウンズの懸命なディフェンスからアンドリュー・ウィギンズが点を決めたプレーをベンチから見ていたバトラーは、チームの中心を担う2人のプレーに興奮して立ち上がり、悦に入った。

ウルブズとバトラーがどういう話し合いをしているのか、そして選手間の関係は当事者にしか分からないが、スパーズとの開幕戦、それからキャブズ戦のパフォーマンスを見る限り、バトラーはウルブズになくてはならない存在だ。