全局面で活躍できるオールラウンダータイプが豊富
トップ指名候補はいないものの、今年のドラフトはウイングの充実が目立ちます。完成度の高い即戦力候補から、ポテンシャルの高い将来性重視の候補まで、特徴の異なる才能が揃っており、指名順位が低くても有望なウイングを獲得するチャンスがあるドラフトになっています。
最も評価の高いキーガン・マレーは平均23.5点、8.7リバウンド、1.9ブロック、1.3スティールと攻守の全局面で活躍するコンプリートプレーヤーです。3ポイントシュートも40%決めており、オフボールでもプレーメークに参加できる戦術力も持ち合わせる即戦力候補として、すべてのチームが欲しがる存在です。21歳と年齢が気になることと、個人技で得点するエースタイプではないことだけが懸念事項ですが、すぐにNBAにフィットするでしょう。
似たようなタイプのタリ・イーソンも全局面で活躍できるオールラウンダーとして、平均24.4分のプレータイムながら16.9点に加え、1.1ブロック、1.9スティールと大活躍しました。シックスマンとして個人技で打開することも多く、さらに伸びそうな選手ですが、ギャンブル性の高いプレーを選択し、ファウルも多いなど粗削りなメンタリティが懸念事項となっており、即戦力としての期待度は下がります。
18歳の1年生ながら3ポイントシュート成功率45%を記録したAJ・グリフィンもオールラウンドな能力が評価されており、ロールプレーヤーとして即戦力にもなれれば、将来のエースとしてのポテンシャルも期待される良いとこ取りの選手です。まだまだ伸ばすべき点も多いだけに育成にも力を入れるチームが指名しそうです。
より未知数ながら大いなるポテンシャルを持っているのがジェレミー・ソーハンです。アメリカで生まれ、イングランドで育ったポーランド人はフリースロー成功率が60%を下回っており、シュート力には大きな不安があります。その一方でエネルギッシュなプレーで攻守に暴れまわり、広い視野とハードなディフェンスを持ち合わせる稀有なタイプのウイングです。1年で見違えるような成長も見せそうなだけに、我慢してでも起用できるチームに向いています。
ユーロからの新星としてはニコラ・ヨビッチが期待されています。シュータータイプのスコアラーながらセルビア出身らしくアシスト能力も持ち合わせており、ファンタスティックなプレーを演出してくれます。ただし、ターンオーバーが多く、フィールドゴール成功率も41%程度とトップレベルに混じるには完成度が低く、アメリカのプレースタイルへのアジャストも含めて時間がかかりそうです。
完成度で選ぶならNCAAトーナメントでMOPに選ばれたオチャイ・アバジがいます。ディフェンス力が武器の4年生は3ポイントシュート成功率も40%を超えており、『3&D』として多彩な活躍が見込めます。必要なタイミングで必要なプレーをチョイスできる判断力は上級生ならではの能力だけに、堅実な戦力を求めるチームには魅力的な選手でしょう。他にもディフェンス力の高いケンデル・ブラウンやジェイリン・ウィリアムス、シュート能力の高いジェイク・ララビアやパトリック・ボールドウィンなど、各チームが求める能力によって指名順位も大きく動いてきそうなウイングが揃っています。多彩な顔触れはドラフト当日のトレードにも繋がりそうなだけに、様々なドラマが起きそうです。