[NBA開幕プレビュー ジャズ]美しく優雅なチームオフェンスの最高峰を、より鋭く

2018/10/18
NBA&海外
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ジャズ

文=神高尚 写真=Getty Images

昨シーズン成績
48勝34敗(西カンファレンス5位)、カンファレンスセミファイナル敗退
主な加入
グレイソン・アレン
主な放出
ヨナス・ジェレブコ

チームの完成度は高く、個人は成長の余地を残す

昨シーズンはリッキー・ルビオ、ドノバン・ミッチェル、ロイス・オニール、ジェイ・クラウダーと新加入が多く、チーム力を発揮するまでに時間がかかりながら、後半戦に驚異的な強さを発揮したジャズ。フリーエージェント選手との再契約が順調に進んだことで移籍がほとんどなく、ヘッドコーチのクイン・スナイダーが志向するシステムを理解しているメンバーが残っており、今シーズンの台風の目になると期待されます。

運動能力は低いが高いシュート精度と判断力を持つジョー・イングルスや、器用さには欠けるがゴール下の強さはリーグ最高レベルのルディ・ゴベアといった選手の特徴を最大限に生かすシステムは、単にチーム内のルールを守るだけでなく相互理解がなければ機能しません。高速化が進む現在のNBAですが、チームとしての連動性と高い判断力を武器に戦うジャズは攻守に安定しており、シュートの調子が悪くても接戦に持ち込み、最後はドノバン・ミッチェルが個人技で試合を制する戦い方もできます。

そんなチームを特徴付けるのはパワーフォワードのデリック・フェイバーズ。3ポイントシュート成功率22%は現代のパワーフォワードとしては失格レベルの確率で、ゴベアという優秀なセンターがいるだけにスモールフォワードタイプの選手が優先されるのが普通です。しかし、ディフェンスの穴を見つけるのが上手く、空いたスペースを巧みに使ってパスを引き出し、そしてリーグで2番目に少なかったペイント内失点のディフェンス力があるため、シュート精度を補って余りある貢献をします。また試合中盤でゴベアに代わってセンターとしてもプレーするなど、万能なプレーで連動性と判断力のジャズを支えています。スピードが必要な時はフェイバーズを、高さが必要なときはゴベアを優先する起用法がジャズの特徴になっています。

システムとしての完成度が高い一方で個人の成長が残されているのもジャズの興味深いところで、3ポイントシュート成功率ではフェイバーズだけでなく、クラウダーの32%、ダンテ・エクサムの28%、アレック・バークスの32%と課題がある選手が多く、他にもルビオのアシスト5.3本はキャリア最低でした。2年目のミッチェルとオニール、ルーキーのグレイソン・アレンといった若手の成長はもちろん、中堅選手にも改善すべき点が多く残されています。

流れるような美しいオフェンスとは裏腹にリーグ13位のフィールドゴール成功率、21位のアシスト数、20位のターンオーバー数と、改善すべきポイントが多くあり、システムへの理解度が高い中で個人個人がより完成度を高めることでチームは大きく飛躍する可能性を秘めています。

リーグ最高のディフェンスレーティングを誇り、得失点差もリーグ5位と素晴らしい成績を残しながら、オフェンス面ではまだまだ改善の余地があります。スターターの連携はほぼ完璧になり、今シーズンはベンチメンバーの充実を図っていくでしょう。ライバルチームが豪華なスター選手を並べる中で、チーム力で互角に戦うジャズ。個人が完璧ではないだけに面白いのです。

カギを握るビッグマンたちのコンディション

一方で不安材料となるのが毎年のように多発するケガです。特徴ある選手が揃うだけに、1人を欠くだけでチームバランスが変わります。特にインサイドはプレシーズンでもゴベアとフェイバーズの2人で回すような体制で、控えはエペイ・ユドしかいません。昨シーズンもケガでセンターがいない状態で戦う試合もありましたが、チームシステムを理解しないと活躍できないチームなので、あまりにも薄いインサイド陣のコンディショニング管理が何よりも重要になりそうです。下部リーグで育てて引き上げるのも得意としているだけに、何かしらの勝算があるのかもしれませんが、リーグトップを狙うのであればケガ人が出ないことは最低条件になります。

オールスター選手がおらず地味な印象の強いジャズですが、ゴベアとフェイバーズを中心にしたインサイドの強さ、リーグ4位のスティールを記録したプレッシャーディフェンスで追い込み、連携力と判断力を基盤にした鮮やかなチームオフェンスでトップチーム相手にも一歩も引けをとりません。計算し尽くされた戦術に加えてハードワークを求める指揮官、クイン・スナイダーの勝利への執念を感じるジャズが、チームの力でリーグを席巻するのも夢のある話です。

+++++注目すべき『脇役』+++++
ダンテ・エクサム 昨シーズンはケガで14試合の出場に留まったが、プレーオフではスピードを生かした突破とディフェンス力を発揮した。ルビオとは全くタイプの違うポイントガードで、エースキラーの役割も果たしたい。