今シーズンは代表経験者を含む8名のフィリピン人選手が日本でプレー
Bリーグは先日、宇都宮ブレックスの優勝で2021-22シーズンの幕を閉じた。宇都宮と琉球ゴールデンキングスによる東京体育館で行われたファイナルには、2日間で計1万3528人の観客が集まるなど、2016年に誕生して以降、Bリーグ自体の存在感を高めていっている。
それは日本国内だけに留まらず、フィリピンでもBリーグは高い注目を浴びている。Bリーグは2020-21シーズンに『アジア特別枠』を導入。フィリピンの大学No.1プレーヤーと評され、大学生ながらフル代表デビューも果たしていたサーディ・ラベナが母国フィリピンのプロリーグではなく、日本のBリーグでプロキャリアを歩むことを選択し話題となった。そして、今シーズンは代表経験者を含む8名のフィリピン人選手が日本でプレーするなど、Bリーグとフィリピンのかかわりは強くなっている。
そんな中、Bリーグは先日、史上初となる海外でのイベントをフィリピンで開催した。Bリーグで活躍する選手のトークショーとBリーグファイナル第1戦のライブビューイング・パーティーを実施し、イベントには三遠ネオフェニックスのサーディ、滋賀レイクスターズのキーファー・ラベナ、名古屋ダイヤモンドドルフィンズのレイ・パークスジュニア、茨城ロボッツのハビエル・ゴメス・デ・リアノ、青森ワッツのカマーク・カリノの5名が参加した。
選手だけでなく、在フィリピン日本大使館の越川和彦大使も出席し、「フィリピン人アスリートの素晴らしい才能が、Bリーグに魔法をかけてくれました。私たちの絆を深める新たな道を切り開いたのです」と、イベントに参加した5選手に賞賛の言葉を送った。
サーディ「多くのフィリピン人選手が海外でプレーするきっかけになれてうれしい」
今では8名のフィリピン人選手がBリーグで活躍しているが、そのパイオニアとなったサーディは「多くのフィリピン人選手が海外でプレーするきっかけになれて、とてもうれしい」と言うと、「より多くの選手が日本でのバスケットを経験しに来日して、オンコートはもちろん、オフコートでもとても美しい日本を経験してほしい」と思いを語った。
そして、弟サーディの1年後に来日し、今シーズンから日本でプレーしている兄キーファーは、サーディが所属する三遠との今シーズンの開幕戦2試合を終えた時に「本当に疲れてしまって、全身筋肉痛になった」と当時の心境を明かした。「これから一年間、このようなタフな日々が続くんだと自分に言い聞かせ、メンタル面でもフィジカル面でも準備をしていきました」
カリノもBリーグで1シーズンを経験し「たくさんのことを学びましたが、特に連戦が大きい。連戦は正直びっくりしました」と続けた。「フィリピンでは通常1週間が空くけど、Bリーグでは土曜と日曜に試合があり、時には水曜にもあります。だから体調管理が必要で、時間の管理についても学びました」
「この時代にバスケットボールに国境はありません」
日本でプレーしたいと思っているフィリピン人選手へのアドバイスを求められると、キーファーは「自分の決断に責任を持つこと」と語った。「自分に賭け、自分を信じ、誰も自分のことを信じてくれなくても、自分だけは何よりも自分を信じることです。一人暮らしで時には話し相手が誰もいない時もあります。自分への信頼が、毎日ただひたすら自分を突き進ませてくれる」
キーファーのコメントに対して、カリノは「キーファーが言ったように自分を信じること。実は僕が日本でのプレーを始める時、キーファーにアドバイスをもらったんです。そのおかげで生き残れました」と明かした。
そして、パークスジュニアも「ためらわないこと。この時代にバスケットボールに国境はありません。若いうちから様々な文化に触れるべきです。選手としてプレーできる時間は限られているので、若いうちになれる限りの最高の選手になるべきです」とアドバイスを送った。
このイベントには多くのメディアが駆けつけ、現地のテレビや新聞、ネットメディアでも取り上げられた。Bリーグは今シーズンからフィリピンのケーブルテレビ、インターネット配信業社と契約を結び、フィリピンの400万世帯がBリーグを視聴できる環境となっている。それだけに、フィリピンでの今後のBリーグの注目度があらためて楽しみだと感じられるイベントとなった。また、来年2023年には日本とフィリピン、インドネシアの3カ所でワールドカップが開催されることもあり、これからのアジアにおけるバスケットの発展にも期待したい。