富樫勇樹

文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

富樫を中心とした多彩な攻めで三遠を圧倒

千葉ジェッツが三遠ネオフェニックスを船橋アリーナに迎えての第2戦。最高のスタートを切った千葉が試合を掌握し、三遠に付け入る隙を与えず。第3クォーターが終わった時点で66-39と大差を付けて、しかも内容ではスコア以上の印象で大勝した。

立ち上がりに田渡修人、ウィリアム・マクドナルドと立て続けにシュートを決められ0-5とビハインドを背負った千葉だが、そこから富樫勇樹が連続得点で追い付き、自分にディフェンスが集中したと見るやインサイドにできたスペースを突き、富樫を中心に多彩な攻めを披露。三遠もアグレッシブに放つシュートが確率良く決まるのだが、点の取り合いは千葉の望むスタイル。打ち合いを続けるうちに千葉にファストブレイクが出るようになった。

こうなると三遠がタイムアウトを取っても千葉の流れは止まらない。ギャビン・エドワーズの3ポイントシュート、小野龍猛のポストプレー、最後は田口成浩がブザービーターとなる3ポイントシュートを沈め、27-14と三遠を突き放して第1クォーターを終えた。

さらには第2クォーターに入り、セカンドユニット主体の千葉が先発組よりも速く、アグレッシブで、ボールへの執着心も強いプレーを披露。勢いに飲まれた三遠はパスが回らなくなり、太田敦也やマクドナルドがインサイドを強引にこじ開けて得点を奪うも、得点効率が良いはずの速攻をミスで得点につなげられないシーンが続いて勢いが出ない。第2クォーターはコートに戻った富樫が連続得点で締め、千葉が45-27とリードを広げた。

三遠ネオフェニックス

相手の勢いに飲み込まれた三遠「まずは丁寧に」

後半最初のプレーでマクドナルドがオフェンスファウルを取られ、個人3つ目のファウルトラブルに。これで得点源のマクドナルドから思い切りの良さが消えてしまい、三遠は打つ手がなくなってしまった。39-66とこの試合最大の27点差で始まった第4クォーター、集中力を切らすことなく戦い続け、17-7とこのクォーターを取ったものの、最終スコアは56-73。悔しい連敗となった。

三遠を率いる藤田弘輝ヘッドコーチは「第1クォーターの途中から終わり方、それがすべて。トランジションで走られたのが一番の反省点、千葉の得意なバスケットをやられてしまった」と試合を振り返る。太田敦也は思うように展開できなかったオフェンスについて次のように語る。「インサイドに入れて作る時間帯、全員で走って攻める時間帯を全員で見極めて、波に乗って行けるようなバスケットをしないと今日みたいになってしまう。まずは丁寧にやること。今日は簡単に打って外してしまうシーンも目立ったので、そこは全員で確認して修正していきます」

一方、千葉にとってはチームの成長を感じられる大きな1勝。序盤の攻勢を演出した富樫は、大量リードの展開で最終クォーターは出番がなくプレータイムは21分に留まったが3本の3ポイントシュート成功を含む15得点、6アシストを記録。「練習でうまく行っていても、試合ではうまく行かなかったのがこの3試合。今までやってきた基本的なこと、ボールを動かすことを徹底して、うまくいく時間帯が多かった。それぞれ頑張っている中でも徹底できていないところがあったのですが、チームとして目指すところが形として見えた」と収穫を語る。

ここから2週連続で水曜にも試合がある過密日程が始まるが「練習がなくて試合だけなので歓迎です」と余裕の表情。富樫が調子を上げるにつれ、千葉にも勢いが出てきた。