秋田に攻め手を見いださせない完璧なディフェンス
東地区の首位を走るアルバルク東京が、ここまで2勝10敗で地区最下位に沈む秋田ノーザンハピネッツを代々木第二体育館に迎えた。
第1クォーターの外国人オン・ザ・コートがA東京は「2」、秋田が「1」の状況にあって、秋田はスコット・モリソンとインサイドで組む谷口大智が奮闘する。A東京はトロイ・ギレンウォーターが激しいマークを受け、竹内譲次のシュートがブロックされるなど序盤はインサイドを封じられるが、その谷口が開始3分で2つ目のファウルを犯し、ファウルトラブルでベンチに下がる。
これで自由を得たギレンウォーターがオフェンスリバウンドを取ってのセカンドチャンス、ディアンテ・ギャレットが秋田の守備を切り裂いて決めたドライブ・レイアップで、A東京に一気に流れが来た。菊地祥平のレイアップがモリソンに叩き落されるが、そのこぼれ球をフリーで受けた伊藤大司が3ポイントシュートを決めて13-4に。残り2分20秒からはギャレット一人で8-0のランを決め、24-6と大量リードで第1クォーターを終えた。
第2クォーターのファーストプレーは、ケビン・パルマーの3ポイントシュート。だが、A東京は完璧なディフェンスでそれ以上の得点を許さない。秋田のパス回しよりもA東京のカバーの方が早く、ドライブもきっちりと体を寄せてリングにアタックさせない。この組織ディフェンスに対し、秋田はシュートチャンスを見いだせないまま時間を使い、タフショットを打たされては走られた。この試合、秋田は24秒バイオレーションを4度も取られている。
残り2分50秒、松井啓十郎の3ポイントシュートで37-13とリードを広げる。たまらずタイムアウトで流れを切ろうとする秋田の意図を、松井が再び3ポイントシュートを沈めて断ち切る。前半の最後に田口成浩に3ポイントシュートを許すも、45-18と大量リードで前半を折り返した。
正中に油断なし「今日の良いイメージはいったん置く」
後半もA東京は自分たちのプレーを粛々と遂行する。プレータイムを厳密にシェアするため運動量が落ちず、集中が切れることもない。足を痛めたギレンウォーターが後半はプレーしなかったが、アンドリュー・ネイミックがその穴を埋め、アクシデントにもきっちり対処した。
62-32と30点差で始まった第4クォーター、安藤誓哉とディショーン・スティーブンスが強引な仕掛けから好プレーを連発するが、A東京も正中岳城が3本すべての3ポイントシュートを沈めるなどベンチメンバーも持ち味を出してペースを落とさない。残り5分、ギャレットが3ポイントシュートを決めてオフィシャルタイムアウトになった時点で、スコアは81-41と40点差。
ここでようやくA東京はギアを落とし、ややリードを詰められたものの、86-55の大差で勝利している。
秋田にとっては、苦戦は予想したとは言っても、ここまで一方的な試合展開は想定外だったはず。長谷川誠ヘッドコーチは「相手の良いディフェンスにやられてしまった。周りがノーマークを作れない、ボールをもらっても1対1に行けない」と振り返る。
思うようなオフェンスができない原因を長谷川ヘッドコーチは「インサイドとアウトサイドのバランスです」と語る。得点源となる安藤と田口を抑えられると、他に攻略の糸口を見いだせない。外がダメなら中で、というオフェンスが機能しなかった。
一方、大勝したA東京の伊藤拓摩ヘッドコーチは「ディフェンスの勝利、やりたいディフェンスができました」と胸を張る。ポイントは前回、秋田での対戦で2試合ともやられた第1クォーター。今回は秋田の多彩なセットオフェンスを徹底的に研究し、わずか6失点に抑え込んでみせた。
前節の千葉ジェッツ戦では大量の退場者を出し、思わぬ形で注目を集めてしまったが、その『事件』もチームの結束を強める結果になったと伊藤ヘッドコーチは言う。終盤に持ち味を見せた正中も「あの事件で注目されることになるからこそ、自分たちのバスケットをやろうと強く意識しました」と言う。乱闘騒ぎやジャッジの是非ではなく、プレーのクオリティに注目してもらいたい、という気持ちが、今日の完璧なパフォーマンスに繋がった。
これだけの圧勝だから、明日の試合も楽観視しているかと思いきや、正中は全く逆のことを言う。「今日は相手のシュートが入っていませんでした。明日も同じような展開になるとは思っていません。今日の良いイメージはいったん置いて、また明日、相手のシュートが入ってもしっかり勝てるようなプレーをやります」
A東京vs秋田は日曜と月曜の変則開催。第2戦は明日、19時15分のティップオフとなる。