痛恨の連敗を喫した川崎戦、2試合ともに1桁得点に終わり本領発揮とはならず
シーホース三河は、5月7日と8日のレギュラーシーズン最終週で川崎ブレイブサンダースと対戦。2試合の内、一つでも勝てばチャンピオンシップ出場を達成できたが、連敗を喫する。その結果、秋田ノーザンハピネッツに逆転でチャンピオンシップ最後の切符を取られシーズン終了となってしまった。
この2試合、三河はともに外国籍選手の個人技が目立つオフェンスとなってしまったことが痛かった。そうなった要因の一つとして、日本人エースの西田優大が本来のパフォーマンスを発揮できずに終わったことがある。第1戦はフィールドゴール9本中3本成功の8得点、第2戦はフィールドゴール5本中1本成功の2得点に終わり、持ち味であるドライブ、3ポイントシュートの両方ともが低調だった。
「チャンピオンシップに行けなくて悔しいのが一番です。やっぱりリバウンドだったり、勝負どころで相手に最もやられていけない3ポイントシュートを決められたりしたのが勝敗の分かれ道だったと思います」
こう試合を総括した西田は、自身のプレーについて「全然、納得はしていないです」と続けた。「いつもと比べるとボールを触る時間も少なかったです。初日に関してはチームとしてあまり連動できていなかったのでリズムをうまく作れず、シュートタッチにも繋がっていかなかったです。今日に関しても得点がすごく少ないです。自分がディフェンスを崩していければとドライブをしましたが、そこで川崎はブロックも高いですし、キックアウトもなかなかうまくいかなかったです」
大一番で本領発揮といかなかった背景には過密日程を受けてコンディションが万全でなかった点もある。特に負けられないチーム事情があったにせよ4月下旬の西田は30分以上のプレータイムが続いていた。鈴木貴美一ヘッドコーチも「いくら若いといってもこれだけのタフなスケジュールの中、プレータイムが長かったのでもうちょっと楽にしてやれば良かったです。終盤で負担が多くなってしまいました」と語った。
ただ、西田本人はこの点について「言い訳にしようとも思っていないです」と言い切る。「自分でも終盤になってコンディションが悪くなっているなとは感じていました。1シーズンを通してプレーするのが今シーズン初めてだったので、そういうところはもっとしっかりトレーニングを入れたりして、メンタルというより身体の部分で来シーズンはしっかり調整できればと思いました」
実り多いルーキーシーズンを終え「この体験を無駄にしてはいけない」
こうして大きな悔しさとともに終わった西田のルーキーシーズンだったが、日本代表では若きエースとして活躍した。西田はこの実り多き一年をこのように総括する。「一年を通してみると成長できたと思います。でもこうしてコンディショニングが悪くなったりすると、どうしてもパフォーマンスが落ちてしまう。それは防げないものではないです。トレーニング、ケア、食事で補っていけると思うのでオフシーズンに学びながら繋げていきたいです」
また、日本代表だけでなく、ダバンテ・ガードナーを筆頭に得点力のある選手が多い三河においてもエースとしても役割を求められた。そこには当初驚きもあったが、今はしっかりとした自覚を持っている。「開幕前はミスをしてもいいから積極的に行きなさいと言われていましたし、自分がチーム最年少だったのでチームを勢いづけられればいいという気持ちでエースの意識はなかったです。それがシーズン序盤に貴美一さんから『お前がエースだぞ』みたいなことを言われ、その時は戸惑ったところがありました。ただ、そこから自分がもっとやっていいんだと思いました。自分が起点となって外国籍選手を使っていく。勝負どころで起用してもらうことも多かったですし、ここでしっかり決め切る力を持たないといけないです」
当然のように周囲はこの経験を糧に西田がさらなる飛躍を遂げることを期待している。そのために何が必要となるのか、百戦錬磨のベテランである柏木真介は「一番必要なのは責任感を持つことです」と言う。「日本だと大卒2年目は若いと見られますが、世界の尺度で言うと若くないです。エースの自覚と責任を持つことでプレーに対しての重みが出てくる。その気持ちがあれば今年以上のパフォーマンスを発揮できると思います」
そして来シーズンの逆襲に向け、西田はこう締めくくる。「来年はチャンピオンシップになんとしても出るのが大事です。この体験を無駄にしてはいけないと思います。ここから代表活動もあると思うので、さらに身体を作って来シーズンに繋げたいです」
三河の絶対的なエースになるためにもまずは今夏、日本代表として躍動する彼の姿を期待したい。