栃木ブレックス

文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

重い展開に持ち込んだ富山が前半をリード

栃木ブレックスが富山グラウジーズをホームのブレックスアリーナに迎えた第2戦。終盤に追いつかれるも、走り合いに持ち込んで上回った栃木が85-80で勝利を収めた。

立ち上がりは持ち味のディフェンスが機能し、トランジションバスケットに持ち込んだ栃木が先行するが、第1クォーターだけで14本のフリースローを獲得するも7本の成功に留まり突き放すチャンスを逸する。その間にレオ・ライオンズの個人技を止められなくなり、逆点を許した。

第2クォーターに入ると、ジョシュア・スミスを起点にした富山が流れをつかむ。栃木はスミスにボールが入った瞬間にダブルチームに行くが、富山はパスアウトからノーマークを作って水戸健史、大塚裕土が3ポイントシュートを沈めリードを広げた。

それでも後半に入ると栃木のトランジションオフェンスが爆発する。ディフェンスのギアを上げてターンオーバーを誘発すると、すかさず速攻に持ち込む。開始1分、トランジションからアウトナンバーを作り、ライアン・ロシターの3ポイントシュートで逆転した。

その後も速い展開を貫く栃木はハーフコートバスケットにもリズムが生まれ、怒涛の攻撃を披露。オフェンスを牽引した田臥がこのクォーターだけで5得点5アシスト、フィニッシャーとなったロシターが20得点を記録し、このクォーターを34-19と圧倒した。

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終盤に逆転を許すも、渡邉のクラッチシュートで幕

だが最終クォーターを迎えると、富山が粘りを見せる。スミスが栃木の執拗なダブルチームディフェンスにアジャストすると、パスアウトから優位な状況を作り出す。大塚の3ポイントシュートや阿部友和の3点プレーとなるバスケット・カウントで勢いに乗ると、スミスがオフェンスリバウンドを押し込み2点差に詰め寄ってオフィシャルタイムアウトを迎えた。

良い形を作ってもシュートがリングに嫌われて得点が伸びない栃木を富山が猛追する。残り2分20秒、ライオンズがフローターシュートを決めて、富山が土壇場で75-73と逆転に成功した。

だが、ここで栃木は崩れなかった。素早いボール回しとリングへのアタックからノーマークを作り、ロシターが3ポイントシュートを沈める。ライオンズのフリースローで再び逆転されるも、ここで田臥のアシストから渡邉裕規が値千金の3ポイントシュートを沈めてリードを奪った。

そして残り32秒、クラッチタイムで抜群の勝負強さを見せる渡邉がプルアップジャンパーを沈め、81-77としたところで勝負アリ。栃木はファウルゲームも乗り切って連勝を収めた。

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終盤の出来を分けた第3クォーターの走り合い

終盤に逆転を許すも、最後の最後で勝ち切った要因を栃木の安齋竜三ヘッドコーチはこのように語った。「前半は重い展開になってしまったが、第3クォーターで走り合いになった。点の取り合いでいいからどんどん走って、最終的に体力的に勝ればいいという展開。それが最後の局面でのディフェンスとオフェンスにつながったと思う」

34点を奪った第3クォーターの怒涛の攻撃が、スコア上の貯金だけではなく、最終盤のパフォーマンスにつながったということだ。

一方、敗れた富山のドナルド・ベックヘッドコーチは「昨日よりも正確に自分たちのバスケットをやっていたし、リバウンドのアドバンテージがあったことには満足している。ただターンオーバーから自滅してしまった」と総括した。それでも「今日のように集合体になれれば良いチームになっていける。チームとしてはステップアップする良い機会になった」と前を向いた。

これで栃木は開幕から無傷の4連勝を記録。だが次節は3連勝中の前年度王者、アルバルク東京との一戦を迎える。「規律があるチーム。ピック&ロールが多く、そこをどう守るかというところで去年から苦労している」とA東京の印象を語った安齋コーチは「守り方を徹底してウチのバスケットをしたい」と抱負を語った。