劣勢にも我慢強く戦い切ったことが、ここ一番でのビッグショットを導く
4月30日、千葉ジェッツが敵地に乗り込んで宇都宮ブレックスと対戦。前半の劣勢を我慢強く戦うことで盛り返すと、第4クォーターで24-10と圧倒し74-71と逆転勝ちを収めた。
立ち上がりは共に強度の高いディフェンスが光り千葉の15-14とロースコアで第1クォーターを終える。しかし、第2クォーターに入ると、千葉は開始1分でギャビン・エドワーズが連続でファウルを犯し、ベンチに下がらざるを得なくなったことで徐々にリズムが狂ってくる。この隙を宇都宮に突かれ、渡邉裕規にコーナーからの連続3ポイントシュートを浴びリードを許してしまう。その後もオフェンスで悪い終わり方をすることで、相手にイージーシュートの機会を作られる負のスパイラルに陥り、このクォーターで12-27と崩れ、前半で14点差をつけられる。
後半に入っても宇都宮の流れは続き、千葉は11点を追いかける形で第4クォーターと苦しい展開は続く。だが、第4クォーターになると、千葉はようやくディフェンスリバウンドからのトランジションで得点を重ねる得意の展開に持ち込み、残り約7分半で一気に4点差にまで縮めた。
ここから宇都宮も守備を立て直して我慢比べが続くが、千葉は残り50秒に富樫勇樹が3ポイントシュートを沈め2点差と肉薄。次のポゼッションでエドワーズのシュートブロックによって24秒オーバータイムを誘発すると、残り10秒に富樫のパスを受けたエドワーズが値千金の3ポイントシュートを決めて土壇場でひっくり返す。そのまま鉄壁ディフェンスで宇都宮オフェンスを抑え込み劇的な逆転勝利を挙げた。
ゲームウィナーの一撃を沈めたエドワーズは、勝因をこう語る。「スロースタートになってしまいましたが、しっかり戦い切ったと思います。試合の鍵となったのは、辛抱強さです。前半に何度かパンチをくらいましたが、そこから我慢してプレーを続けられました」
第4クォーターは8分半の出場で7得点をマークと抜群の勝負強さを発揮したが、エドワーズらしく、今日もチーム全員でつかんだ勝利を強調する。「残り5分を切ってからブロックをしたり、3ポイントシュートを決めたりしましたが、個人の活躍というよりチームで団結して戦えたことが大きいです。チームで得た勝利だったと思います」
大野ヘッドコーチ「若いウイングがディフェンスのインテンシティを上げてくれた」
エドワーズの言う通り、彼や富樫のビッグショットを導いたのは、第4クォーターをわずか10失点に抑えたチーム一丸の鉄壁ディフェンスだ。それに大きく貢献したのはこのクォーターで7分36秒と多くの時間でコートに立った赤穂雷太だ。
第3クォーター終了間際、赤穂はスティールからの速攻でノーマークからダンクを狙いにいって失敗。リバウンドを拾った宇都宮が逆速攻を決めたことで、千葉は7点差に縮められると思ったところが逆に11点差と最悪のクォーターの終わり方となった。しかし、大野篤史ヘッドコーチは、致命的なミスを犯した赤穂をベンチに下げなかった。指揮官はこう振り返る。
「雷太はダンクをミスした後、立ち直ってくれました。彼には試合中、『あそこでレイアップにいってブロックされるより、ダンクにいってミスした方が俺は好き』と伝えました。彼はショックを受けていたと思いますが、自分の役割をしっかり果たしてくれたと思います。(大倉)颯太も含め若いウィングがディフェンスのインテンシティを上げてくれました」
赤穂、大倉と期待の若手が、シーズン終盤になってステップアップするのは、ポストシーズンに向けて大きな意味を持つとエドワーズは考える。「特にチャンピオンシップは選手層の厚さが大事になってきます。若手の成長はこの部分に大きく影響するものです。8人とかではなく10人、11人の選手がしっかり活躍できることはこれからに繋がってくると思います」
今日の1勝は千葉にとって東地区優勝に向けて大きく前進するものだ。それと同時に地区優勝の先にあるリーグ連覇に欠かせない、チームの底上げを大きく促進するきっかけになり得る白星になりそうだ。