最後まで我慢し、難敵の島根相手に価値ある同一カード連勝を達成
琉球ゴールデンキングスは4月24日、ホームで島根スサノオマジックと対戦。テンポの良いオフェンスから得点を重ねていき93-83で制した前日と一転し、ロースコアの展開となったが最後までディフェンスの集中力を切らさずに71-68で競り勝った。
琉球の桶谷大ヘッドコーチは「全体的に見て最後に勝ち切れたのは我慢できたからです」と語り、選手たちの粘り強さとハードワークを勝因に挙げた。「ここに関してすごくチームは成長しています。オフェンスの調子が良くなくても、ディフェンスではトランジションでしっかり戻り、相手のシューターに対してハードにいく。そしてリバウンドを頑張るところがすごく見られました。みんなが泥臭い仕事をしてくれました。」
そして指揮官は、今シーズンここまで同一カードで連敗のなかった島根に連勝できたことは、勝ち抜くには2勝が必要なチャンピオンシップに向け良いテストになったと考える。「島根さんに連勝することは僕たちにすごくとって重要でした。仮想チャンピオンシップではないですが、連勝を向けてしっかりトライしましょうと臨み、結果を出せたのはすごく良かったです」
琉球にとって連勝と共に大きな収穫となったのは、オフェンス爆発で押し切った前日とは真逆でシュートタッチが悪くオフェンスがうまく行かないストレスのたまる展開でも集中力を切らさずに勝ち切ったことだ。
この試合19得点7リバウンド4アシストと攻守に渡って活躍したドウェイン・エバンスも結果、内容の双方で得られたものは大きかったと感じている。「今節に入るにあたり、島根さんのように良いコーチがいて選手も揃っている強いチームに対して連勝するのが大きな目標でした。毎試合、20点差で勝てるとは思っていないですし、今日のような試合を勝利することで成長できます。引き続き競り合いをものにしながら目標に向かって突き進んでいきたいと思います」
ゲームMVPでビール1年分を獲得「優勝してファンの皆さんと一緒に飲みたい」
今回の2連戦、エバンスは初戦でも22得点をマーク。切れ味鋭いゴール下へのドライブを軸にアウトサイドからも決められる彼は、ボールシェアを重視し、得点が分散する琉球にあってもここまでチームトップの1試合平均16.6得点を挙げるエース格だ。しかし、本人は「自分の役割はくさびとなって、良い流れをもたらすためのグルーガイです」とチームの潤滑油としての働きを何よりも意識し、自身のことを得点源やフィニッシャーとは考えていない。
「自分の仕事はボールを回して正しいポジションに位置取ること。チームメートが自分をオープンにさせてくれたのでシュートを決められました」と、周囲の助けがあってこそ自分は得点を挙げられると強調する。
西地区優勝により、琉球はチャンピオンシップのホームコートアドバンテージを獲得した。リーグ屈指の熱狂的なファンの下で戦えることの意味をエバンスも熟知している。彼がどれだけファンを大切に思っているのかは、日本1年目だった昨シーズンから、日本語で積極的にスピーチを行っていることからも明らかだ。
24日のゲームMVPに選出された時も、冠スポンサーを務めたオリオンビールから副賞としてビール1年分を贈呈されたことに「ビール、多すぎる」と日本語で語り、会場を沸かせた。そしてコロナ禍が改善されることで状況が許されるなら、この大量のビールの使い道を次のように考えている。「もし、それなりの量があれば、リーグ優勝の後でファンの皆さんと分け合いながら一緒に飲みたいですね」
チーム毎にそれぞれ志向するオフェンスの型があるが、琉球は個人技ではなく、あくまでボールをシェアして攻めることを貫くことを目指す。このチームオフェンスにおいて、フィッシャーとパスの出し手を高い次元で両立させるエバンスは、「グルーガイ」以上の存在だ。