ベンドラメ礼生

連続アタックで延長戦に持ち込む立役者に

サンロッカーズ渋谷vsアルバルク東京の第1戦は後半以降は2ポゼッション以上離れない死闘となったが、オーバータイム残り2秒にジョシュ・ハレルソンがオフェンスリバウンドからのタフショットを沈めたSR渋谷が94-92で勝利した。

決勝点を挙げたのはハレルソンだ。また、オーバータイム開始1分でファウルアウトになったものの、それまでのチームの得点王は21得点を挙げたケビン・ジョーンズだった。しかし、延長へと持ち込むフリースローを沈め、結果的にチームハイの得点を挙げたのはベンドラメ礼生だった。

第4クォーター終盤、4点差を追いかける展開となったSR渋谷は、A東京のスイッチを多用するディフェンスを冷静に分析し、試合中に足に問題を抱えたアレックス・カークとのスピードのミスマッチを突こうとベンドラメにボールを託した。そして、ベンドラメは持ち前のスピードを生かし、切れ味鋭いドライブから2ポゼッション連続でシュートファウルを誘発。残り27秒から獲得した4本のフリースローをすべて成功させ、延長戦へと持ち込んだ。

最終的に2点差で決着した以上、1ポゼッションごとの積み重ねの結果であり、一言で言い表せられるような明確な勝因や敗因は存在しない。それでも、A東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチはこのように持論を展開した。

「ハーフタイム以降はプレー・バイ・プレー。気が抜けない状況が最後まで続きました。オーバータイムに入り、最後はSR渋谷のポゼッションで最後に決められたことで残念な結果になりました。勝敗を決するクラッチタイムは、シュートではなく強いドライブでペイントアタックし、ダンクやファウルを誘うプレーでフリースローをもらう。これが終盤のプレーだと思う。我々は外からのシュートが目立った」

ルカヘッドコーチがそう言うように、A東京はゲームハイの31得点を挙げ、なおかつ誰よりもシュートタッチの良かったセバスチャン・サイズが終盤に連続でアウトサイドシュートを打ったが、疲労のせいかエアボールになっていた。結果論ではあるが、SR渋谷のベンドラメが果敢なアタックによって延長への道を切り開いたように、ペイントアタックを選択すべきだったとの意味のように聞こえた。

ベンドラメ礼生

「あの状況では1対1のほうが確実に点数が取れると思った」

結果的にベンドラメの3ポイントシュートが外れ、ハレルソンのセカンドチャンスポイントが決勝点となったが、伊佐ヘッドコーチは「時間を使えと言ったんですけど、2秒残して、ジョシュのオフェンスリバウンドまで計算してくれたのでさすがだなと思いました」と言い、ベンドラメの一連のプレーを称賛した。

だが、ベンドラメ自身は「ジョシュがリバウンドを取って、決めてなお2秒残っていたので。相手にチャンスを与える時間を残してしまったのは反省点ですし、ちょっと早かったかなと思います」とラストショットを振り返った。

それでも、時間がない中で果敢にドライブし、しっかりとファウルを誘発した第4クォーターのプレーは称賛に値する。また、2点ビハインドでボールを託された場合、3ポイントシュートで逆転という思いがよぎってもおかしくはないが、ベンドラメは極限状態の中で冷静な判断ができたいた。

「外から打つのは簡単なんですけど、あの状況では1対1のほうが確実に点数が取れると思ったのでアタックを選択しました。完全に抜ききれると思っていたのでファウルがもらえたのはラッキーでしたが、スピードのミスマッチを突こうという指示がある中で頭の中にはアタックすることしか考えていなかったです」

今回の死闘を制し、SR渋谷はワイルドカード2位を争う秋田ノーザンハピネッツ、シーホース三河とのゲーム差を縮めた。今後もチャンピオンシップ争いは激化していくことが予想されるが、外国籍選手に頼らず、ベンドラメにクラッチタイムを任すことができるSR渋谷が逆転でチャンピオンシップに進出する可能性は大いにある。