勝利を決定付ける3ポイントシュート「本当にうれしかった」
10月6日、川崎ブレイブサンダースはアウェーでの千葉ジェッツ戦で、前半途中に最大21点のリードを許しながら68–66の大逆転勝利。絶対的エースのニック・ファジーカスが欠場する中、難敵の千葉相手に敵地で価値ある連勝を収めた。劇的勝利のヒーローとなったのは辻直人で、1点を追う残り14秒に十八番の3ポイントシュートを沈めた。
この試合、辻は試合開始から約2分半でいきなりの2つのファウルを犯し、前半はそのままベンチに座った。しかし、第3クォーターはフル出場で5得点4アシスト1スティールと猛烈な追い上げを牽引する。そして第4クォーターでは唯一放ったシュートがあの決勝弾。ここぞの場面で輝きを放つ『千両役者』の本領をいかんなく発揮した。
「子供のように喜んでいたと思いますが、本当にうれしかったです」と満面の笑みを見せた辻は、次のように最後の3ポイントシュートを振り返る。
「最初から自分が3ポイントシュートを打とうとピックをしたわけではないです。チームとしてシュートチャンスが生まれればと考えてですが、少しはズレができたので、そこでアタックをしようと思いました。(マークについていた小野)龍猛さんがドライブに反応したので、それをうまく逆手にとって3ポイントシュートを打てました」
千葉相手に、しかもファジーカス不在でのアウェー2連勝は川崎にとって大きな弾みとなる。「昨シーズンだと先に勝っての1勝1敗が多かったです。1勝しても2戦目でディフェンスもオフェンスも対策され、相手の方がアグレッシブにプレーして負けていた。今年は負けた時の言い訳として、相手の方がアグレッシブだった、というのはなくそうと言っており、そういうところで昨シーズンよりは成長していると感じました」
「このオフシーズンは代表で精神的に成長できた」
勢いがつくのは辻本人にとっても同様で、先出し開催となった4日の20得点に続いての活躍と、2試合続けて結果を残せたことに手応えを感じている。
「昨シーズンはチームだけでなく個人としても1試合目が良くて、2試合目はダメというのが結構多くあったと思います。今日も前半は同じ感じになってしまいましたが、最後は良い形で開幕週を締めくくれました。本当に個人として、これから良い波に乗れる。もっと充実させていきたいと前向きに、楽しみになってくる2試合でした」
特に、ファウルトラブルに陥る最悪の立ち上がりから挽回できた内容が、辻に自信と高揚感を与えている。「このような前半だと、多分今までだったらちょっと精神的に切れてしまって、後半もそのまま試合に入ってしまい、今日のようなパフォーマンスは出せなかったと思います」。それが今回は立て直せたのは、今夏における代表での経験で心身ともにタフになれたからだ。
「このオフシーズンは代表で精神的にもすごく成長できたと、自信を持ってこの開幕に臨めました。技術とかはそんなに変わりはないと感じますが、精神的な部分では昨シーズンより一歩成長しているかなと思っています」
ファジーカスが帰化選手となり、レギュレーション変更の恩恵を大きく受けている川崎にとって、Bリーグ3年目の今シーズンは何としてもタイトルを取らないといけないシーズンとなる。辻にとっても、「今シーズンは本当に勝負の年。辻の年にすると、自分に言い聞かせて奮い立たせています」と強い覚悟を持って挑んでいると強調する。
この開幕シリーズでつかんだ流れをさらに加速させるためにも、今週末のホームゲームで、辻はどんなパフォーマンスを見せてくれるのかより興味深くなっている。
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