宮澤夕貴

「トヨタさんが我慢できるチームになっていました」

今シーズンのWリーグは富士通レッドウェーブとのファイナルに連勝したトヨタ自動車アンテロープスの2連覇で幕を閉じた。

初戦を落とし後がなくなって迎えた第2戦、富士通はエブリン、ステファニーの馬瓜姉妹やシラ・ソハナ・ファトー・ジャを擁するトヨタ自動車の強力なインサイド陣に手を焼いた。試合後、宮澤夕貴が「リバウンドで14本負けていて、そこがすべてだと思います」と語ったように、リバウンドで30-44と大きく水をあけられた。

高さと強さを兼ね備えるオールラウンダーの宮澤がコートにいる時はそこまで高さに押し込まれることはなかった。しかし、第2クォーター約5分で宮澤が個人3つの目のファウルを犯し、ベンチに下がって以降はペイントエリアでの失点が増えていった。その結果、一時は20点弱のビハインドを背負っていた富士通だったが、町田瑠唯や宮澤の攻守の奮闘により、2桁前後のビハインドで耐え凌いだ。しかし、最終クォーター開始1分、エブリンに上手くファウルを誘われ、宮澤が個人4つ目のファウルを犯してしまい、徐々にチームは崩れていった。

宮澤はファウルトラブルに陥りながらも、ともにチームハイとなる19得点10リバウンドを挙げ、さらに2ブロックショットも記録。自身が替えの効かない選手ということを自覚しているからこそ、自分を責める。「個人的にはファウルトラブルになってしまって、大事な時間帯でコートに立てなくて、チームにすごく迷惑をかけてしまったという思いです」

そして、宮澤はこのように試合を総括した。「トヨタさんは外もありますし、インサイドも強いということで、ディフェンスの部分で的が絞りにくくなってしまいました。そこがすごく難しかったです。今まではちょっと我慢したらトヨタさんを倒すことができると思っていたんですけど、トヨタさんが我慢できるチームになっていました」

宮澤夕貴

第1戦を逆転で落とし「殴りたいくらい悔しかった」

宮澤は「もっと自分たちはできると思っていたんですけど、トヨタを相手にそれをコート上で表現できなかったことが悔しいです」と、敗戦の悔しさを滲ませたが、「今日の負けより昨日の負けの方が悔しいです」とも語り、逆転負けを喫した第1戦のことを口にした。

第1戦は終始富士通が主導権を握り、最終クォーターを迎えた時点で7点をリードしていた。しかし、トヨタ自動車の守備の変化に対応できず得点が伸び悩み、第4クォーターに8-20と大きく失速して、痛恨の逆転負けを食らった。

宮澤は「殴りたいくらい悔しかった」と本音を明かした。「昨日の試合が終わった時点でメンタルのダメージが強かったです。あんなに悔しかった試合は本当にいつぶりだろうと思うくらい悔しかったです。切り替えようと言っても、どう切り替えていいか分からない状況でした」

勝ちゲームを落としたダメージは計り知れず、それがファイナルという最も大事な一戦であればなおさらだ。それでも宮澤は自分と向き合ったことで自身ができる最高のパフォーマンスを第2戦で披露した。「見たくなかったですけど、自分の試合をもう一回振り返って、自分のダメなところを全部見て、それを受け入れました。改善点が見られたので、悔しさを明日にぶつけてやるという気持ちになることができて、昨日の夜の時点で切り替えることができました」

ファウルトラブルには陥ったものの、宮澤は移籍1年目にして富士通の大黒柱であることを証明した。2年目の来シーズンは上積みを重ね、準優勝以上の結果に期待したい。