相手の守備の変化に対応できず第4クォーターはわずか8得点に終わる
Wリーグのファイナル初戦、富士通レッドウェーブは第4クォーターに失速して69-74とトヨタ自動車アンテロープスに痛恨の逆転負けを喫した。リーグ制覇に向けては、今日、明日と連勝するしかない状況に追い込まれた。
この試合で富士通は最高のスタートをきる。前回、出場した2015-16シーズンのファイナルも経験している町田瑠唯が「久々のファイナルで自分自身、すごく楽しみにしていました。ファイナル1戦目の出だしで、どれだけインパクトを与えられるかが大事だと思っていました」と語るように、チーム最初のシュートを放つなど立ち上がりから積極的に仕掛けてオフェンスのリズムを作る。
町田とともに前回のファイナルを経験している篠崎澪も、持ち味の力強いドライブで相手ディフェンスを切り崩し、第1クォーターだけで12得点と大暴れ。守っても激しくプレッシャーをかけてトヨタ自動車にタフショットを打たせ第1クォーターで18-11と先行した。第2クォーターに入ると、インサイドの層の厚さで上回る相手のインサイドアタックにファウルを重ねフリースローを多く与えてしまうが、それでも宮澤夕貴と、このクォーターで6得点を挙げた藤本愛妃の活躍もあり、10点リードで試合を折り返した。
そのまま第3クォーターも主導権を握っていた富士通だが、第4クォーターに入ると町田のマークに182cmの馬瓜ステファニーをつけるなど、守備のマッチアップを変えてきたトヨタ自動車の作戦にアジャストできず。町田がボールに絡む機会が減ることで、オフェンスの流れが停滞してしまい得点が伸びない。それでもディフェンスでふんばり、残り2分をきって2点をリードしていたが、ここからトヨタ自動車の山本麻衣にビッグショットを連続で決められる一方で、町田がまさかのフリースロー2本失敗と、要所での決定力に差が出て初戦を落としてしまった。
第4クォーターで8-20と失速し、あと一歩で勝利を逃したことに指揮官BTテーブスも「どう見てもこの負けは辛いです」と率直な思いを明かし、敗因を語る。「正直、第4クォーターまでオフェンス、ディフェンスとも内容は良いバスケットボールができていました。負けはすべて第4クォーターのせいです。特に相手のスイッチディフェンスをなかなか上手く攻めることができなかったです。その上にターンオーバーが増えてしまいました」
24得点の篠崎「相手の勢いにのまれてしまったところがあります」
大黒柱の町田は「出だしは悪くなかったです。大事なところで私がイージーシュート、フリースローを決めきれていなかったのが今日の負け。明日、切り替えてやります」と自らを責めると、第4クォーターの失速を振り返る。「特に相手のディフェンスがマッチアップを変えてきて、そこでどうやって攻めるのか。出ている5人が迷ってしまったところがあり、いつも通りの流れでオフェンスができていなかったと思います」
これで崖っぷちに追い込まれた富士通だが、第1戦で24得点8アシスト7リバウンドの大活躍だった篠崎も、次のように反省する。「ディフェンスでも大事なところでシュートを守りきれなかったです。相手の勢いにのまれてしまったところがあり、焦ってターンオーバーをしてしまいました。どういう状況になっても焦らず、自分たちのプレーを続けていかないといけないです」
自分たちのやるべきバスケをいかに貫けるのか。それが巻き返しの鍵と考えているのは町田も同じだ。「最後の終わり方が甘かったのでそこは集中して40分間、自分たちのバスケットボールをやりたいです」
富士通のバスケットボールといえば、ボールと人がよく動くことで相手ディフェンスのマークを振り切り、オープンシュートを作り出すもの。そして守備のわずかな綻びを見逃さずピンポイントでパスを通せる町田が攻撃の起点となってこそ、その真髄はより発揮される。相手がどんな対策を取ってきても対応し、町田をしっかりとオフェンスに絡められるかが、第3戦へと持ち込むためにまずは求められる。