トヨタ自動車

ステファニー「明日はもっとトヨタらしさを出したい」

Wリーグは2戦先勝方式のプレーオフファイナルを迎えた。富士通レッドウェーブとトヨタ自動車アンテロープスの第1戦は、多くの時間帯で2桁点差を追いかけていたトヨタ自動車が第4クォーターを20-8と圧倒して、74-69で勝利した。

先に主導権を握ったのは富士通。スイッチディフェンスをするトヨタ自動車に対し、積極的にスクリーンを仕掛けてミスマッチを作ると、司令塔の町田瑠唯が瞬時にアドバンテージを見つけて得点へ繋いでいく。また、ディフェンスでも宮澤夕貴とオコエ桃仁花が身体を張って、馬瓜エブリンや馬瓜ステファニー、シラ・ソハナ・ファトー・ジャとのフィジカル勝負に対抗する。そして、タフショットを打たせてはリバウンドを取って攻めに転じた。特に篠崎澪は立ち上がりからシュートタッチが良く、第1クォーターだけで12得点を固めてチームを牽引し、富士通が18-11とリードした。しかし、オコエが第1クォーターで2ファウルを犯し、第2クォーターはベンチに下がることに。

第2クォーターになるとトヨタ自動車が息を吹き返す。第1クォーターは富士通のプレッシャーに対しボールが停滞しタフショットを強いられたが、第2クォーターになると人とボールが連動して動くようになり、自分たちのリズムでアタックしていく。また、第1クォーターはフリースローも9本中5本成功と苦しんだが徐々にシュート感覚を取り戻すと、フリースローなどで点差を詰めて、開始約3分で3点差にまで詰め寄った。

このままトヨタ自動車の流れになるかと思われたが、富士通もセカンドユニットの藤本愛妃がミドルシュートにフリースローなどで重い展開を変える。さらに同じくベンチから出場した内野智香英の3ポイントシュートも決まり、残り約4分で33-23とリードを2桁に戻した富士通が41-31で前半を終えた。

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後半にディフェンスの強度を上げたトヨタ自動車がリズムを取り戻す

後半に入ると点の取り合いとなる中、富士通が2桁前後のリードをキープしたまま時間が過ぎた。それでも、第3クォーター終盤に平下愛佳が3ポイントシュート、シラがセカンドチャンスポイントをねじ込んだトヨタ自動車が第3クォーターを23-20と上回り、7点差に詰めて第4クォーターを迎えた。

ディフェンスの強度をより一層上げたトヨタ自動車は、立ち上がりでステファニーとシラの得点で3点差にで詰め寄ると、残り8分で山本麻衣の3ポイントシュートとシラのミドルシュートにより63-61とトヨタ自動車が逆転する。その後はシラがフリースローラインからのミドルシュートを次々と決めるが、一進一退の攻防が続いた。そして再びトヨタ自動車が2点を追いかける時間が3分ほど続いたが、残り1分40秒で山本がトップからの3ポイントシュートを決めて70-69と再び逆転する。その20秒後にはステファニーが町田にフリースローを与えたが、町田が2本とも外しトヨタ自動車がリードを保った。そして残り19秒、山本が町田を含め3人を抜くドライブからバスケット・カウントを奪ったところで勝負アリ。第4クォーターを20-8と圧倒したトヨタ自動車が74-69での逆転勝利を果たした。

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「今日はトヨタとしてはやり切ったと言い切れない」

トヨタ自動車はシラが前半は2得点だったが、後半に爆発しチームハイの21得点と9リバウンド4アシスト、山本が3ポイントシュート4本中3本成功の15得点7アシスト2スティールを挙げた。

両チームで最長となる36分54秒のプレータイムで、9得点12リバウンド4アシスト1スティール3ブロックと攻守に貢献したステファニーは「前半はかなり苦しくて自分も緊張しましたし、なかなか自分たちのプレーをすることができなくて、正直、皇后杯がフラッシュバックすることがありました」と振り返った。

それでも、2桁前後の点差で食らいつき、終盤で逆転に至ったことについて「そこでズルズルと負けなかったのは本当に自分たちが成長した部分でした」と語った。「シーズンではこういう最後まで負けている展開のゲームはなかなかなかったので、今日が一番良い経験になりました。この試合があったからこそ、明日は一人ひとりが吹っ切れて全力でできると思うので、今日の経験を生かしたいです。今日はトヨタとしてはやり切ったと言い切れないので、明日はもっとトヨタらしさを出したいです」

13得点6リバウンドで貢献したエブリンも「前半は自分たちのペースでプレーできず、苦しい時間帯が続きました」としつつ、後半で挽回できた理由をこう語った。「一人ひとりが今までの経験から、目を合わせてやるべきことを毎回確認して、しっかりとヘッドコーチが求めることを遂行していくことが後半に向けて徐々にできるようになりました。その結果、最後に粘り勝てたと思います」

第1戦を勝利し、連覇に王手をかけたトヨタ自動車だが、後がない富士通は第2戦で今日以上のエナジーを出して向かってくるに違いない。ステファニーが「もっとトヨタらしさを出したい」と語ったように、第2戦では立ち上がりからトヨタ自動車らしいバスケを展開することができるか。第2戦は4月17日(日)18時ティップオフだ。