文=鈴木健一郎 写真=Getty Images

アームストロングと菊池の衝突から大量の退場者を出す事態に

Bリーグは昨日、10月30日の千葉ジェッツvsアルバルク東京の試合中に起きた『ファイティング』の違反行為についての処分を発表した。

第1クォーター残り3分30秒の時点で、千葉のヒルトン・アームストロング、A東京の菊地祥平がボールのないところで衝突し、転倒。その後、立ち上がってプレーに戻ろうとする菊池にアームストロングの足がかかったのを機に両者が胸を合わせて詰め寄り、アームストロングが菊池を投げ倒す事態となった。

アームストロングに対しては、菊池への暴力行為として「2試合の出場停止と罰金10万円」が科され、また菊池にはアームストロングに対する挑発行為があったとして「厳重注意」とされた。

また、プレーが中断となった後でアームストロングの背中を押したA東京のトロイ・ギレンウォーターは、ディスクォリファイング・ファウルを宣告され退場処分となったが、規律委員会の審議の結果、相手を傷つける攻撃性はなかったとして「けん責」(始末書の提出)処分となった。

最初の衝突が起きた際にベンチエリアから出たとして退場処分を受けた千葉の5選手(西村文男、荒尾岳、原修太、タイラー・ストーン、伊藤俊亮)、A東京の4選手(二ノ宮康平、田村大輔、松井啓十郎、アンドリュー・ネイミック)については「戒告」(口頭による注意)が科されている。

さらにはA東京の田中大貴も、審判の確認漏れにより失格・退場処分を受けずプレー続行となったものの、ベンチエリアから出る違反行為が認められたとして、他の選手と同じく「戒告」処分となっている。

5名以上の選手が失格・退場となった千葉、A東京の両チームともに罰金50万円の処分を受けている。

また、Bリーグに審判員を派遣する日本バスケットボール協会からは、この試合を担当した3人の審判について、今週末のBリーグの担当を見送るとともに、実地研修を通じた再発防止に努める旨が発表された。

「ジャッジについてはJBA審判部と協議してまいります」

Bリーグの大河正明チェアマンは以下のコメントを発表している。「試合を楽しみにこられたお客様に対して期待を裏切る行為が行われたことに対し、まずは深くお詫び申し上げます。競技規則上、ベンチエリアを出た選手を退場させた審判の判断は妥当と言えます。今後かかる事態が発生しないよう、改めて競技規則をチーム関係者に徹底していくとともに、審判のジャッジに関して寄せられているご意見については、JBA審判部とよく協議してまいります」

アームストロングも、クラブを通してコメントを発表している。「日曜日のアルバルク東京戦で起こしてしまった行為に対し心から謝罪いたします。私はあのような行為を起こすような人間ではありません。皆様が我々を常にサポートしに来て下さっていることは知っています。あのような行為は二度と起こさないと誓いますし、引き続きの変わらぬサポートに感謝しております」

乱闘劇の主役となる不名誉を負ったアームストロングは、今週末の仙台89ERSとの2試合は出場停止。11月19日の秋田ノーザンハピネッツ戦から復帰となる。

今回の事態は、Bリーグにとっても悪い面がクローズアップされる結果となってしまった。だが、立ち上がったばかりのリーグが何から何まで完璧に運用されることはあり得ない。選手のフェアプレー精神についても、審判員のレベルについても、それを見守る我々の意識についても、向上の余地は大いにある。今回の『不名誉な事件』を向上のきっかけにしなければならない。