残り5分から24失点、終盤に失速するまさかの敗戦
川崎ブレイブサンダースは秋田ノーザンハピネッツとの第2戦で、第4クォーターに奪った最大19点のリードを守り切れず、中山拓哉のハーフコートショットを浴びて86-87の大逆転負けを喫した。
佐藤賢次ヘッドコーチは「非常に悔しい敗戦になりました」と語りつつ、このように試合を振り返った。「相手が激しく来ることは予想していた中で前半は我慢して、後半は相手のディフェンスに対してしっかりとアジャストして良いゲームコントロールができていました。しかし、第4クォーター残り5分から24得点を与えてしまったことが敗因だと思います。3ポイントシュートも7本決められていたので、40分間やるべきことをやりきれるようにもう一度突き詰めていきたいと思います」
前半を同点で終えた川崎は第3クォーターを25-13とし、主導権を握った。その勢いのまま、最終クォーター開始1分半にはリードを19点にまで拡大した。しかし、佐藤ヘッドコーチが言うように、チームは時間が進むにつれて失速していった。また、14点リードで迎えたオフィシャルタイムアウト明けには、佐藤ヘッドコーチが「トラップに来ることが分かっていた中で上手く利用するように指示は出していたんですけど、それ以上にプレッシャーがあって、ボールの出しどころを全部ディナイされました」と語ったように、秋田のトラップに引っかかり2連続でスティールからの速攻を浴びた。
それでも、どうにか秋田の反撃をしのいだ川崎は、キャリアハイのパフォーマンスを見せていた藤井祐眞の得点により、残り53秒で8点のリードを得た。試合巧者の川崎がこのまま勝ち切るかに思われたが、連続で得点を許し、残り15秒にはアレックス・デイビスの3ポイントシュートを浴びて1点差に迫られた。今シーズンの3ポイントシュート成功率が20%を切り、コート上で最も成功率が低いデイビスに打たせたことは正解かもしれない。佐藤ヘッドコーチも「デイビス選手にやられた時にニック(ファジーカス)が出られなかったのは仕方がない」と言う。だからこそ、「コミュニケーションミスだったりトランジションからの3ポイントシュート、それは絶対にやられてはいけないところだった」と続け、終盤のパフォーマンスではなく、反撃のきっかけを作ったシーンが敗因になったと指摘した。
「その6点が勝敗を決する必要がない状況に自分たちでできたと思う」
ジョーダン・ヒースが残り32秒で得た2本のフリースローを外し、藤井が残り4秒で得た1投目のフリースローを決めていたら同じ結果にはなっていなかったかもしれない。さらに言えば、中山のハーフコートショットが決まる確率のほうが圧倒的に低く、たらればを言えばキリがない。だからこそ篠山竜青は「最後の3ポイントシュート以外で点差を離せる部分がもっとあったと思う」と語り、指揮官と同様の見解を示した。
「第4クォーターに34点取られました。デイビス選手や中山選手の3ポイントシュートに関しては仕方がなかったと思いますが、第4クォーターの田口(成浩)選手、古川(孝敏)選手、(ジョーダン)グリン選手の3ポイントシュートは余計で、あまりにもイージーだったと思います。緩んでいた時間帯も全然あったと思うし、その6点(中山とデイビスの3ポイントシュート)が勝敗を決する必要がない状況に自分たちでできたと思うので、そこは詰めていかないといけない」
さらに篠山は「ポイントガードとして、もっと違うコールがあったんじゃないか」と自問自答する。「ピック&ロールに対して全部ブリッツで潰しに来ている相手に対し、ハンドラーとスクリーナー以外の3選手の繋ぎの意識だったり、その辺の連動の部分でもっと厚みを持たせることができればもっときれいに攻略できていたと思います。そこにこだわる必要があったのかとか、目先を変える選択肢もあったかもしれない」
手痛い1敗となったことは間違いない。ただ、篠山は「ゲームの終わり方を丁寧にする必要がありました。30分間は集中できていたけど、それを40分間遂行できなかったのは自分たちの緩さだと思う。そこを付け込まれた結果」と、この敗戦を正面から受け止めている。チャンピオンシップの先にある栄光を目指すチームにとって、この敗戦は高い授業料を払うだけの価値があったと思える日が来るはずだ。
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