小池遥

トヨタ自動車に完敗し「相手が実力的にも上でした」

Wリーグはプレーオフセミファイナルを終えて、今シーズンのファイナル進出チームが決定した。

レギュラーシーズンを13勝11敗の6位で終えたシャンソン化粧品シャンソンVマジックは、プレーオフセミクォーターファイナルで三菱電機コアラーズに1点差で勝利し、続くクォーターファイナルでも髙田真希、赤穂ひまわりといった日本代表の主力を擁するデンソーアイリスを81-71で撃破して、2017年以来のベスト4進出を決めた。

セミファイナルの対戦相手はレギュラーシーズン2位のトヨタ自動車アンテロープスで、昨シーズンの優勝チームでもある。また、エブリンとステファニーの馬瓜姉妹など、3人制バスケ『3×3』を含めると、5選手が東京オリンピックメンバーという選手層の厚いチームだ。

シャンソンにもアンダーカテゴリーでの日本代表経験者はいるが、東京オリンピックに出場した選手はいない。レギュラーシーズンの直接対決でもトヨタ自動車に2戦2敗としていて、彼女たちにとって『挑戦』のセミファイナルとなった。

結果的には2試合ともに20点差(第1戦が57-80、第2戦は63-83)で敗れ、まさに力負けとなった。キャプテンの小池遥はセミファイナル敗退が決まった第2戦の試合後、「第1戦で消極的になったところを反省して、今日は全員が力強い気持ちで負けないようにやりましたけど、相手が実力的にも上でした。負けて悔しいです」と完敗を認めた。それでも、シャンソンの選手たちは最後まであきらめずにトヨタ自動車に食らいつき、敗れはしたが2試合ともに素晴らしい姿勢を見せてくれた。

また、ファイナル進出は逃したが、シャンソンは目標のベスト4は達成できた。平均12.2得点、9.2アシスト、5.0リバウンド、2.5スティールを記録(プレーオフ4試合)して、プレー面でもチームを牽引した小池は「この舞台に立ててうれしいです。来年もこの経験を生かして、一人ひとりが成長しなきゃいけないと、あらためて実感しました」と続けた。

小池遥

吉田「この経験が無駄にならないように頑張りたい」

昨夏の東京オリンピックで女子日本代表が銀メダルを獲得したことで、Wリーグの注目は高まり、代々木第二体育館で2日間に渡って行われたセミファイナルの入場者数は平均2312人にまで登った。

女子バスケの注目度が変わった中で、小池も前回のセミファイナル進出時はまだアーリーエントリーだったが、今回はキャプテンとしてこの舞台に戻って来た。「アーリーエントリーぶりにセミファイナルの舞台に立てて、観客がすごい中でプレーできて楽しかったです。欲を言えばファイナルに行きたかった。個人としても、チームとしてもまだ甘さや弱さがあったと思います。来シーズンもこの舞台に戻って来られるように、もう一回自分の役割を徹底して、レベルアップして帰って来たいです」

昨シーズンはセミクォーターファイナル敗退だったシャンソンだが、今シーズンはセミファイナルまで上り詰めた。平均年齢22.2歳と若いチームなだけに、来シーズンへの期待が膨らむ。小池も「今シーズンはメンバーも増えて、昨シーズンとは『チームで戦う』ということが違いました」と昨シーズンとの変化を語る。「コートに出ている5人だけじゃなく、スタッフも一体感を持ってやれたことが成長に繋がりました。まだ私たちは若いので、この経験を来年に繋げていけたらと思います」

また、ルーキーながら主力を務め、レギュラーシーズンは平均14.0得点、4.5リバウンド、1.3アシストを記録し、プレーオフ4試合でも平均12.2得点、3.2リバウンド、1.5アシスト、2.2スティールを挙げてチームに貢献してきた吉田舞衣は「1年目で長い時間コートに立たせてもらえているだけでも貴重な経験で、プレーオフのセミファイナルまでプレーさせてもらえたことは感謝しています」と今シーズンを振り返った。

「今日の悔しさ、そして昨日今日の試合が結果だと思っている」と今の実力を認めつつ、「この経験が無駄にならないように、来シーズンももっと上を目指せるように頑張りたいです」と前を向いた。

今シーズンのWリーグファイナル進出チームは、トヨタ自動車と富士通になった。選手の負傷離脱の影響もあるが、長らく王朝を築いたENEOSサンフラワーズが16年ぶりにセミファイナル敗退を喫するなど、リーグ情勢は変わりつつある。

この大舞台での経験をシャンソンはどう生かしていくのか。プレーオフでの戦いぶりを見て、また一つ、今後の成長が楽しみなチームが増えた。