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直接対決は安定感で勝るスパーズが3勝1敗

CJ・マッカラムをトレードで獲得しチームが軌道に乗ったペリカンズと、シーズン終盤にレイカーズをかわしてプレーイン・トーナメントに躍り出たスパーズは、共に勝率以上に勢いのあるチーム同士の対戦となりました。プレーオフに進むには2連勝が必要ですが、その可能性を十分に感じさせる両チームです。

マッカラムとブランドン・イングラムが高精度のミドルレンジを武器に仕掛けてくるオフェンスは『分かっていても止められない』怖さがあります。圧倒的な高さのイングラムをブロックするのは困難で、緩急自在にアタックしてくるマッカラムはプレッシャーディフェンスを無効化してきます。ここにヨナス・バランチューナスのオフェンスリバウンドが絡んでくるだけに、何を優先して止めればいいのか難しいのがペリカンズのオフェンスです。

しかし、ペリカンズが調子を上げたのはマッカラムにオフェンスを託せることで、ディフェンスを重視した選手起用が可能になったことが大きく、ハーバード・ジョーンズやジャクソン・ヘイズを並べ、高さとフィジカルに優位点があるチームになりました。スパーズが小さいチームだけに、インサイドでは圧倒的に優位に立てそうです。

スパーズは平均21.2点、9.3アシスト、8.4リバウンドでオールスターにも選ばれたデジョンテ・マレーを中心にしつつ、シーズン終盤はジョシュ・プリモやトレ・ジョーンズを並べたダブル・ポイントガードシステムを採用するようになりました。若手を積極活用することで成功したようにも思えますが、実際にはそれほど機能しておらず、育成の視点を強く打ち出しています。

一方でザック・コリンズが復帰し、トレードでジョシュ・リチャードソンらが加わったセカンドユニットは安定感のある戦いぶりでアドバンテージをもたらしています。スターの個人技では勝てそうにないものの、選手交代しても変わらぬ戦術で戦える強みを持っているだけに、消耗戦に持ち込みたいところです。高さで劣るのは織り込み済みのスパーズなので、積極的にダブルチームを仕掛けるアグレッシブなディフェンスから速攻に持ち込み、走りあう展開にしていきたいところです。

シーズン中の対戦ではスパーズが3勝1敗で優位に立っており、直近の対戦でもスパーズが勝っています。マッカラム以外はプレーオフの経験値も乏しいペリカンズだけに、一発勝負の試合で自分たちのペースを保てるのかどうかは未知数な部分も多いのに対し、シーズンを通してガードを多く起用した戦い方をしているスパーズの方が安定感がありそうです。

いずれにしても異なる特徴を持つ両チームだけに、相手に合わせず自分たちの強みを出した戦い方を徹底することが重要になりそうです。