三好、長岡と東京オリンピックメンバーが試合の流れを変える
4月10日に行われたトヨタ自動車アンテロープスとシャンソン化粧品シャンソンVマジックによるWリーグのプレーオフセミファイナルGAME2は、トヨタ自動車が83-63で勝利し、2シーズン連続でのファイナル進出を決めた。
第1戦でトヨタ自動車にインサイドを支配されたシャンソンは、この試合ではセンター陣にボールを入れさせない守りを見せ、入ったとしても3人で対応するなど、徹底したインサイド対策を行う。また、オフェンスでもトヨタ自動車のスイッチでのコミュニケーションミスを突いて、得点を重ねていく。
ともにディフェンスの強度が上回り、なかなかペースをつかめない展開となったが、トヨタ自動車は三好南穂が2本の3ポイントシュートを沈めると、終盤には馬瓜ステファニーとシラ・ソハナ・ファトー・ジャがフィジカルを生かしたアタックで得点を重ね、19-15とトヨタ自動車がリードした。
第2クォーターになっても、ともに得点が伸びない我慢の時間帯が続いた。それでもトヨタ自動車は、馬瓜エブリンがミスマッチを突いて冷静にミドルシュートを沈め、さらに全員が積極的にペイントエリアにアタックしてフリースローを奪っていきジワジワと点差を広げた。シャンソンの粘りに遭い、2ポゼッション以上は突き離せなかったが、ベンチから出場した長岡萌映子が勢いを与える。インサイドでボールをもらいディフェンスを引き寄せると、立て続けにノールックパスからシラの得点をお膳立てし、残り約3分でトヨタ自動車がこの試合で初めてリードを2桁に広げた。また、リバウンドでも圧倒し、37-25とリードを広げて試合を折り返した。
シャンソンも小池遥のボールプッシュに野口さくらの速攻、千葉歩のドライブで第3クォーター前半は食らいついたが、攻守に渡ってトヨタ自動車がリバウンドを圧倒し、相手にリズムを与えない。ディフェンスではバックガード陣を含めた全員でしっかりとボックスアウトを行い、オフェンスでも宮下希保やシラが続けてセカンドチャンスポイントを奪っていく。そして、第3クォーター残り1分で川井麻衣がトップからの3ポイントシュートを沈め、60-42とした。
シャンソンはハードな守備に、小池の3ポイントシュートやディヤイ・ファトーのゴール下などで粘りを見せたが、一度ペースをつかんだトヨタ自動車の勢いは止まらず。最終スコア83-63で勝利した。
ステファニー「来週が本当に最後ですし、三好先輩の花道を作りたい」
トヨタ自動車の指揮官ルーカス・モンデーロは「昨シーズンに続けてファイナル進出できてうれしい。2年連続で進出できたのは、選手が努力を積み重ねた結果です。私たちの強みは団結力です」と選手を称えた。
14得点5リバウンド2アシストを記録した三好は、「シャンソンは出だしで点数を取るチームですが、そこを自分たちのディフェンスやリバウンドで少ない失点で抑えられて良かったです」と振り返り、勝因に55-38で圧倒したリバウンドを挙げた。
「本当にリバウンドで相手を圧倒できたことが、シュートチャンスを何回も作れて点数に繋がったので、ファイナルでも継続していきたいです。リバウンドを取るチームが勝つと思いますし、そこが私たちの強みなのでファイナルでもしっかりやっていきたいです」
また、このGAME2ではベンチ入りした全員がコートに立つことができた。三好は「梅木(千夏)はこのプレーオフの舞台にケガで出られないけど、今、出られるメンバー全員がこの舞台を経験できて、コートに立てたことが大事なので、自分自身としても一番うれしいことです」と語った。
15得点6リバウンド4アシストを記録し、オールラウンドなプレーでチームを牽引したステファニーも「昨日今日と、シャンソンさんが高いリズムで戦ってくることを全員が理解して、一つひとつの作戦やディフェンスでも声を掛け合えてよかった」とセミファイナルを振り返った。
そして、「個人的にはまだまだ納得する出来ではないですけど、来週が本当に最後ですし、三好先輩の花道を作りたい」と笑顔を交えて、今シーズン限りでの現役引退を表明している三好についてコメントした。「三好さんはみんなが一つになれるように、気持ちの部分で引っ張ってくれているので、来週はもっとみんなで良いゲームを見せられるように頑張りたいです」
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