指揮官テーブス「シュートが入らない日でも勝つことは可能です」
Wリーグのプレーオフセミファイナル第1戦、富士通レッドウェーブはENEOSサンフワラーズ相手に激しいディフェンスで圧倒し67-58と先勝した。試合の出だし、ENEOSは渡嘉敷来夢、梅沢カディシャ樹奈のインサイド、奥山理々嘉の3ポイントシュートなど怒涛のオフェンスで14-2とスタートダッシュを決める。しかし、富士通は町田瑠唯の3ポイントシュートとドライブによる連続得点でこの悪い流れを断ち切る。
大黒柱の活躍で落ち着きを取り戻した富士通は、さらに宮澤夕貴のフックシュートなど連続9得点で盛り返す。終盤には中村優花がディフェンスリバウンドを取ると、自らボールを運びそのままレイアップを決め富士通が20-18と逆転した。
第2クォーターも富士通の流れは続く。強度の高いディフェンスでENEOSにタフショットを打たせると、リバウンドを取ってから攻守の素早い切り替えで走る展開に持ち込む。シュート確率自体は決して良くなかったが、そこからアウトナンバーを作り出すと岡田英里や宮澤が効果的に3ポイントシュートを決めた。この結果、富士通はこのクォーターを18-9と圧倒し、前半で2桁のリードを奪う。
第3クォーターの中盤、富士通はENEOSの反撃をくらい、2度に渡って7点差にまで詰められた。しかし、直後のポゼッションでは2回連続でオフェンスリバウンドからのセカンドチャンスポイントと、球際の強さで上回ることで主導権を渡さない。そして終盤にはENEOSの連続ターンオーバーをしっかりと得点に繋げることでリードを14点に広げた。最終的にはターンオーバー数で富士通が8、ENEOSが21と大差がついたように、最後までENEOSはオフェンスを立て直せず。このまま第4クォーターも富士通が危なげない展開で逃げ切った。
この試合、富士通は3ポイントシュートが35本中10本成功に終わり、フィールドゴール成功率35.7%とシュートタッチは良くなかった。しかし、「シュートが入らない日でもリバウンドを取って勝つことは可能です。シュートは入らなくても、今日は第1クォーターの最初以外は富士通のバスケができました」とBTテーブスヘッドコーチが語るように、自分たちのやるべきプレーをしっかり遂行することで快心の勝利を収めた。
古巣相手に活躍の中村「自分たちの強みを40分間続けることが結果に繋がる」
13得点3アシスト3リバウンド2スティールを挙げた町田も、守備でつかんだ勝利と語る。「今日は出だしがあまり良くなくて、相手のやりたいトランジションで得点を取られて流れが行ってしまいました。その後でしっかり自分たちの守備をして、リズムをつかめました」
当然のことだが、町田は徹底マークを受け、シュート確率も14本中5本成功と良くなかった。ただ、その中でも持ち前の巧みなパスさばきで守備のズレを作り出し、自分が囮役となってチームメートが攻めやすい状況を作り出すなど、流石の存在感を発揮した。町田は次のように自身のプレーを振り返る。
「フェイスガードで守ってきていたので、なかなかボールを持たせてもらえなかったです。他のメンバーが積極的にアタックしてくれていたので、私はスペースを作ることを意識していました。ただ、チームとして得点が取れなかったり、流れが良くなかったりした時は、しっかりボールをもらって一本作ることを考えていました。明日も今日のような守備が来たら、自分がスクリーンからボールをもらうのか、スクリナーになるのか、もっとスムーズなオフェンスができるように修正して臨みたいです」
実に2015-16シーズン以来となるファイナル進出へ王手をかけた富士通だが、追い込まれた常勝軍団ENEOSがよりタフに戦ってくるのは分かっている。昨シーズンまでENEOSに在籍し、この試合では得意のドライブから11得点とベンチから効果的な活躍をした中村は語る。
「ENEOSはタイトルを何回も取っていて、チーム全体で勝ち方を認識しています。自分たちの強みを40分間やり続けることが結果に繋がる、そこはブレずにいきたいです。私はベンチスタートなので、声を出してチーム全体がそこに向かっていけるように意識したいです」
そして町田もこう意気込む。「明日、ENEOSさんは今日以上に勢いを持って絶対に来ると思います。そこを受け身にならずにチャレンジャーとして戦う。今日は出だしが良くなかったのでそこを修正して、40分間自分たちのディフェンスとアグレッシブなオフェンスで戦うことができれば結果はついてくると思います」
今日の19時ティップオフの第2戦、富士通が初戦と同じく自分たちのプランをしっかり遂行できれば念願のENEOS超えを果たす時が来る。