ジョーダン・クラークソン

写真=Getty Images

フライドチキンからスムージーへと変わった朝食

昨シーズンのトレードデッドラインにレイカーズからキャバリアーズにトレードされたジョーダン・クラークソンは、キャリア初のプレーオフ、NBAファイナルを経験したシーズン後、自分自身を見つめ直した。

キャブズ移籍後のレギュラーシーズンでは28試合に出場し、平均12.6得点、フィールドゴール成功率45.6%、3ポイントシュート成功率40.7%と上々のスタッツを残し、ベンチからの得点源という役割で結果を残した。レギュラーシーズンでの総得点ではベンチ選手でリーグ2位(1085)の成績を挙げたが、初のプレーオフでは、異なるレベルのプレス、フィジカル色の強いディフェンスに対応しきれず、スタッツも平均4.7得点、フィールドゴール成功率30.1%、3ポイントシュート成功率23.9%にまで落ち込んだ。

シーズン途中の移籍は、環境の違いに対応するのが難しく、新チームのシステムに慣れるにも時間が限られてしまう。だが、彼にとってそれは言い訳でしかなかった。

クラークソンは、先週末の練習後、昨シーズンについて『Cleveland.com』に「自分にとっては学習する機会でしかない。自分は浮かれ過ぎもしないし、落ち込み過ぎることもないんだ。すべて経験だと思っている。これが人生。一歩ずつ進んでいくだけさ。もし失敗しても、立ち上がらないといけないから」と語った。

何かを変える必要があると感じたクラークソンは、オフにコンディショニング専門のトレーナーの指導を受け、食生活を改めた。砂糖やパンを止め、アルコールもビールからワインに変えた。それに、大好きなファストフードも食べなくなった。レイカーズ時代には、試合当日の朝にフライドチキンを食べていると語ったほどのクラークソンにとって、ファストフード、キャンディ類を断つのは今でも簡単ではないという。それでも健康を考えてスムージーを飲むよう
になってからは、「朝の目覚めが良い。快調だし、身体にも良いからね」と、効果を実感している。

コートでの取り組みも改めた。オフにはセブンティシクサーズのジョエル・エンビード、ウィザーズのブラッドリー・ビールらを指導しているドリュー・ハンレンに師事した他、ラスベガスでヘッドコーチのタロン・ルーと約1週間の特訓を行なった。

ルーとの練習はピック・アンド・ロール、スペースの作り方、パス、ハンドリングなど基本的なものが多かったそうだが、指揮官と濃密な時間を過ごせたことで、信頼関係が生まれた。ルーは、クラークソンへの期待を、こう述べている。

「彼にはスコアラーとして活躍してもらいたい。ただ、チームメートがオープンな時には、正しい判断が必要だ。その点はこれからも取り組まないといけない。彼がパスを出す姿はあまり見たことがないだろうが、これからは頻繁に目にするようになる」

レブロン・ジェームズが退団した今、キャブズがプレーオフに進出するためには、ベンチから試合の流れを変えられるクラークソンの力が欠かせない。考え過ぎない性格だとしても、やはり昨シーズンのポストシーズンのパフォーマンスは、頭から離れないようで、「モチベーションになることは多い」と、クラークソンは言う。「自分でも理解している。プレーオフでは与えられた役割が変わった。それは、シュートを決められなかった自分の責任。良い時もあれば、そうではない時もある。それがバスケットボールだから」

5年目を迎えるクラークソンの成長が、キャブズの5年連続プレーオフ進出に大きな影響を及ぼすかもしれない。肉体改造、特訓の成果がチームの成績、スタッツに反映されるかどうか、注目したい。