安齋ヘッドコーチ「前半でどう我慢して、点差を離されずについていけるか」
4月6日にブレックスアリーナで行われた宇都宮ブレックスvsアルバルク東京による東地区上位チーム同士の対決は、前半で許した2桁リードを最後まで詰め切ることができず、宇都宮が65-77で敗れた。
ともにディフェンスを持ち味とするチームの戦いだったが、立ち上がりは点の取り合いとなり、両者一歩も譲らない展開となった。それでも、9-7で迎えた残り7分半から宇都宮は田中大貴に3ポイントシュートやドライブをからのバスケット・カウントを与えてしまい、さらに田中とアレックス・カークのツーメンゲームなどで連続10得点を許し、第1クォーターを18-26で終えた。
安齋竜三ヘッドコーチが「前半は相手のフィジカルのあるディフェンスに対して、あまり展開がないオフェンスになったり、ウチのストロングポイントであるインサイドにボールが収まりませんでした」と振り返ったように、宇都宮はA東京の規律正しく、なおかつハードなディフェンスに苦戦した。その結果、チームではなく個々で攻める機会が増え、なかなかリズムをつかむことができなかった。
それでも、第2クォーター中盤には遠藤祐亮とアイザック・フォトゥの合わせや、比江島慎が難しいシュートをねじ込み29-30と1点差まで詰め寄った。そして、宇都宮はここからよりディフェンスの強度を上げA東京に簡単にシュートチャンスを与えなかったが、小島元基にショットクロックギリギリで連続3ポイントシュートを沈められるなど、前半残り3分半から0-12のランを許し、29-42で試合を折り返した。
後半になると宇都宮はチェンジングディフェンスを仕掛けるなどして、ゲームを立て直した。その結果、後半だけを見れば、宇都宮が36点、A東京が35点と互角だった。しかし、相手は強豪A東京だ。安齋ヘッドコーチは言う。「東京のディフェンスは予想通りでしたが、そこに自分たちがアジャストできず単発にさせられた時間帯が多かったです。そこで我慢し続けないと、A東京、千葉(ジェッツ)、川崎(ブレイブサンダース)の上位3つのチームにこうやって離されたら難しいです。前半でどう我慢して、点差を離されずについていけるか、というウチの課題が残りました」
「今日学んだことを次にしっかり出せるようなゲームの終わり方だった」
この試合ではA東京が前半だけで6選手が5得点以上を挙げていたのに対し、宇都宮は5得点以上挙げたのが比江島、ジョシュ・スコット、フォトゥの3人だけだった。中でも遠藤は第4クォーター残り約7分まで無得点と苦しい状況が続いた。
遠藤は「第4クォーターの最後に自分たちが今まで築いてきたやりたいオフェンスのリズムが出たと思います。それを今日のアルバルクのように出だしからやり続ければ、もっと良いゲームにできたと思う」と振り返ると、A東京のハードな守備を前に個のプレーが増えてしまったことにも触れた。「正直、自分が自分がって僕はなっちゃいました。そういうプレーをしていると、こういうゲームになると学びました。チームとして得点するのが僕たちのリズムなので、そこを反省して次に繋げたいです」
もちろん、ホームでの、しかも上位チームとの直接対決を落としたのは痛手だ。それでも遠藤が「次に繋げたい」と語ったように、得たものも多かった。それだけに「負けはしたけど、みんな下を向かず次の試合に向けている」と続ける。
「負けはしましたがアルバルクさんが最後まで激しいディフェンスをやってきていた中でも、最後は自分たちのリズムを出せていました。今日学んだことを次に出せるようなゲームの終わり方だったので、みんな下を向かずに次の試合に向いています。来週は川崎戦なので、そこでも自分たちの激しさを出だしから出さないといけないと今日学びました」
宇都宮は今週末の茨城ロボッツ戦が新型コロナウイルスの影響ですでに開催中止が決まっている。そのため、次戦は1週間後の敵地での川崎戦となり、その後も秋田ノーザンハピネッツ、千葉、A東京とそれぞれ2試合ずつ控えている。
スタイルは違えど、どのチームも守備を強みにしている。遠藤は「いろいろなディフェンスの形を出せるのがブレックス」と言い、終盤戦に向けてこう意気込んだ。「相手によってディフェンスを変えて混乱させて、ディフェンスからリズムを作るのがブレックスのスタイルです。ただ激しいだけじゃなくて、しっかり考えながら、相手を見ながら、激しさを持ってできるのが自分たちです。ここから東地区と多く戦いますが、そういう部分を冷静に出せればと思います」
遠藤がこう語れば、指揮官も「リーグ戦の最後には東京さんとの試合がありますし、チャンピオンシップに向けても良い経験になったので、この経験を繋げていきたいです」と語った。