宇都宮との接戦を制した秋田、前田コーチ「チームにとって一番大きな自信になる」
3月23日、チャンピオンシップ出場争いでワイルドカード2位の秋田ノーザンハピネッツは同1位の宇都宮ブレックスと対戦し、75-69で競り勝った。前半を終えて2桁リードを許しながら、後半になって徐々に追い上げて終盤の猛攻で勝ち切った一戦を秋田の前田顕蔵ヘッドコーチはこう振り返る。
「前半はオフェンスからリズムが崩れましたが、後半は選手たちがしっかりと切り替えてミスを修正してくれました。3連敗から学んだ終盤の組み立て、勝負どころでの迷いのなさ、思い切りの良さが見られました。ディフェンスからゲームを作って終盤に逆転して勝ちきる。チームにとって非常に素晴らしい勝利でした」
また、指揮官は終盤に中山拓哉、古川孝敏らがビッグショットを決められたのは、その前にコートに立っていた選手たちの貢献があってこそで、チーム全員の勝利を強調する。「全員が落ちついてプレーしてくれました。終盤にいく手前、川嶋(勇人)選手、田口(成浩)選手、保岡(龍斗)選手がしっかり繋いでくれたことで、最後にシュートを決め切れる足が残っていました。全員で繋いだ試合だったと思います」
中でもここ一番で外国人選手ではなく日本人選手がオフェンスを牽引したことを収穫に挙げる。「大事な時間帯に日本人選手がプレーメークをしてシュートを決めきる。強いチームはそれができるので、今日はしっかりと選手たちが体現してくれたのはうれしいです」
先週、秋田はアルバルク東京と1試合、川崎ブレイブサンダースと2試合戦ったが、ともに途中まで食らいつくもここ一番の勝負どころで崩れて3連敗を喫していた。だからこそ地区上位の宇都宮相手に、同じような展開となったこの試合を勝てたことは大きな意味がある。
前田ヘッドコーチは言う。「やっぱり勝ちきれたのが一番大きい。今日負けていれば4連敗で、チャンピオンシップに出場するチームとは戦えるけど勝ちきれない印象となるところでした。上位チームとの差は何なのかという苦しみがありました。その中でずっと追いかける状況で我慢して勝ちきれたのは、チームにとって一番大きな自信になると思います」
今週末、敵地に乗り込んで北海道と対戦した後、4月のスケジュールは名古屋D、川崎、琉球、宇都宮、千葉と現在チャンピオンシップ圏内のチームと計8試合を行う。さらにワイルドカード2位の秋田を2ゲーム差で追う3位の三河との直接対決も2試合残っている。もちろんすべての試合で気を抜くことは許されないが、上位相手にどんなプレーをすれば苦しい展開から勝てるのか。その確固たる成功体験を得られたことは、秋田にとってこれからの過酷なスケジュールを乗り越え、チーム初のチャンピオンシップ出場をつかむための大きな助けとなるだろう。
「負けたからといって全部が悪かったわけではない」
一方、宇都宮の安齋竜三ヘッドコーチは、次のように敗因を語る。「前半は我慢をしながら相手の強みを消すことができたと思います。後半はより秋田さんのディフェンスがタフになっていて、ターンオーバーも多かったです。その中で秋田さんの流れになって3ポイントシュートも決められ出しました。ボール運びのところから自分たちのオフェンスに入らせてもらえない。自分たちのやりたい場所でプレーできなかったです。オフェンスもディフェンスも後半は徹底的にやられてしまいました」
これで宇都宮は先週と合わせ直近の3試合で1勝2敗と失速してしまっている。もちろん修正すべきポイントはあるが、この過密日程ではチーム練習をしっかりできる余裕はない。だからこそ指揮官は「反省はしますが、すぐに試合があるのでどんどん切り替えていくしかないです」と、どのような姿勢で臨むべきか続ける。
「今、気をつけないといけないのは、こういう敗戦で崩れていかないことです。ズルズルいかなければ、チャンピオンシップ圏内にいます。負けたからといって全部が悪かったわけではないです。しっかり反省して次のゲームにいく。そしてケガ人が出ないのは重要なことです。(鵤)誠司ももうちょっとしたら戻ってきます」
長いシーズン、当然のように浮き沈みがある中、宇都宮にとって我慢の時期となっている。ここでしっかりと踏みとどまることができれば、チャンピオンシップに向けて流れを好転させるチャンスは必ず来る。今、宇都宮はシーズン最大の正念場を迎えているかもしれない。