富樫勇樹

取材=丸山素行 構成=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

「一つひとつの小さいところでやりきれなかった」

昨日行われたB1の先出し開幕戦、千葉ジェッツは川崎ブレイブサンダースに完敗を喫した。富樫勇樹は持ち前のスピードを生かしてチームハイの18得点を記録したが、大事な開幕戦を落として納得できるはずもない。「もちろん全員が頑張ってたと思うんですけど、一つひとつの小さいところでやりきれなかった部分があると思います」と悔しさをのぞかせた。

「開幕に向けて不安は正直ありました」と富樫は明かす。「プレシーズンを一緒に行わずに開幕を迎えるという難しさは今日の試合で感じました。自分が入る時と入らない時でチームに変化はあると思うので、その中で新しい選手とのコミュニケーションでまだまだな部分があるので、良くしていくしかないかなと思います。これは積み重ねていくしかないです」

「ニック(ファジーカス)選手のいない川崎に敗れたのは事実です。これから59試合、レギュラーシーズンがあるので。まず切り替えて次の試合が土曜日にあるので、準備したいです」

大野篤史ヘッドコーチは攻守がうまく機能しなかった理由として、それぞれの「自分が何とかしよう」という気持ちが出すぎたことを挙げている。富樫は「オープンな選手を作れていたけどなかなか決まらない時間帯があったので、そこで1対1だったりに走ってしまった部分もあります」と認める。「僕個人もチームとしてやっている練習の回数が少なすぎて、もうちょっと新しい選手もそうですし、今シーズンの千葉のスタイル、プレーも含めて知らないといけない。どの選手がどう動くかを分かっていかないといけないです。もうちょっと時間が必要なのかなと」

『ディフェンスから走る』千葉のスタイルは変わらないが、「一つひとつのプレー、セットプレーは昨シーズンとはもちろん変わっています。その部分で、この選手がこう動くからここが空く、というところをまだ試合ができてないので分かってない状態でした。チームでやる5対5と他のチームとやる試合は全く違うものなので、そこの経験はこれからです」と富樫は言う。

富樫勇樹

Bリーグ3年目「バスケットを盛り上げたい」の思い

ただ、これらすべては時間が解決することでもある。開幕戦でライバルの川崎に敗れたことを重く受け止めながらも、「個人としては全く不安はないというか、今日の負けは悔しいですけど、徐々に良くなっていけると思うので不安はありません」ときっぱりと語った。

むしろ富樫はBリーグ、日本のバスケ界全体に意識を向けている。「1年目のBリーグ開幕の派手さや、2年目もそうですけど、そこからちょっと3年目ということで慣れてきた部分もあるかもしれませんが、なかなか1年目以上に注目されている感じは選手としてしない」と彼は言う。

「選手として代表では良い結果を残せているので、その勢いもそのままBリーグにつなげて、もっとバスケットを盛り上げたい。そしてオリンピックという今の日本男子の最大の目標があるので、それに向けてチームとしても個人としても、日本バスケット界としても良い方向に進んでいきたいという気持ちがあります」

勝つこともあれば負けることもあるが、その中で自分たちの質を高めることに注力し、いかに積み上げていくかが長いシーズンの最後の成果となる。一敗の重さを受け止め、大いに悔しがりつつ、下を向くことなく目標を見据える。まずは明日、リベンジのチャンスが残されている。ホームでの連敗スタートは許されない。チームとしては中1日の準備期間をどう活用するかがカギになるし、富樫個人では代表活動での遅れをいかに取り戻すが大事になる。昨日とはまた違った千葉を、富樫を見せてくれることに期待したい。