指揮官「ディフェンスのチームなので、勝ち切ることができたのはプラス」
アルバルク東京は3月20日、広島ドラゴンフライズとホームで対戦。ともにオフェンスで波に乗れずロースコアの我慢比べとなったが、最後まで集中力を切らさず74-66で競り勝った。これでA東京は連勝を8に伸ばしている。
今回の対戦、A東京はライアン・ロシターが故障欠場でインサイド陣の大きな戦力ダウンとなる一方で、広島は辻直人、アイザイア・マーフィーの主力ガード陣が揃って戦線離脱している。この状況から広島がよりインサイドを強調してくるのは明らかだった。
そこはA東京にとっても想定内で、指揮官ルカ・パヴィチェヴィッチは広島の分厚いインサイドアタックをよく抑えたディフェンスを称えた。「広島さんは辻選手がいないことで、戦術として(チャールズ)ジャクソン選手、(グレゴリー)エチェニケ選手、スモールフォワードに(トーマス)ケネディ選手を起用しインサイドを固めてきました。それに(ニック)メイヨ選手のピック&ポップと4名のビッグマンから点数を取っていく戦術でした」
「我々のビッグマンが、相手のセンター陣をよく抑えてくれました。ガード陣も相手のペリメーター陣を簡単にプレーさせなかったです。40分間、しっかりと自分たちのディフェンスができた。最後まで正しいプレーをやり続けたのはプラスだと思います」
また、100点ゲームとなった前日の点の取り合いから一転してのロースコアゲームとなった要因を「過密の日程の中で、連戦の2試合目で選手たちには疲労があり、フレッシュさが落ちた感じがありました。選手たちは身体が少し重いような状況で、オフェンスのリズムを作れなかったです」と語る。
その中でも、ディフエンスにプライドを持つチームとして、守り合いに勝てたことの収穫を強調した。「我々はディフェンスのチームなので、これをしっかり勝ち切ることができたのはプラスです」
「コミュニケーションを取って、より良いチームディフェンスをしていきたい」
この試合、オフェンスで貴重な働きを見せたのは安藤周人だった。代名詞の3ポイントシュートは4本中1本成功に留まったが、ターンオーバー奪取を受けての速攻を決めるなど、ゴール下への鋭いアタックによって15得点をマークした。
「良かったと言えば良かったですし、フィールドゴールは50%(10本中5本成功)でした。ただ、決めなければいけないところで外してしまいました。これで満足するわけにはいかないですし、このパフォーマンスを維持することがすごく重要になってきます。良かった部分はこの先もっと伸ばして、悪かった部分はしっかり反省して、これからの試合に向けて準備できたらと思います」
このように振り返る安藤だが、実は19日のお昼に子供が誕生したばかり。家族のことを考えて今節は欠場してもおかしくなかったが、出場を決めたのはこれ以上ない後押しの言葉があったからだ。「昨日のお昼に生まれて、試合も出られるかどうか分からなかったです。ここでまさかの奥さんが『試合に行ってきて』と言ってくれたことには感謝しないといけないです」
また、ロシター欠場による穴をいかに埋めるかについて、自身を含めたガード陣もサポートできるところは大きいと考える。「ライアンがいない中、吉井(裕鷹)と(平岩)玄が頑張ってくれています。その中で僕たちガード陣ができる部分はたくさんあります。インサイドで点を取られないため、ローポストにボールが入ったらすぐにダブルチームに行く戦術で、今日は何回かミスがありました。ライアンが戻ってくるまで、細かい部分の修正点は大事になってきます。コミュニケーションを取って、もっとより良いチームディフェンスをしていきたいです」
前日の11得点に続き2日続けて2桁得点と充実の週末となったが、一方で自身の状態は決して良いとは見ていない。同時にそれでもチームにしっかり貢献していくことはできる。「今、自分の中でいろいろと上手く行っていないことはありますが、できることもいろいろとあります」
移籍1年目でまだまだチームにフィットしきれていないのは当然とも言える。だが、ここからA東京が勝利を積み重ね王座奪還を果たすには安藤が、いかにうまく噛み合っていけるのかが大事となってくる。それをあらためて証明したこの週末のパフォーマンスだった。
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