テリー・ロジアー

写真=Getty Images

NBA選手になった息子のプレーを、父は今週末初めて観戦

セルティックスのテリー・ロジアーは、NBA3年目の昨シーズンに大きく飛躍した。カイリー・アービングが負傷離脱して以降、セルティックスの先発ポイントガードとして活躍。プレーオフでサプライズチームとなったセルティックスを支える若手の一人となった。

そのロジアーは、ようやく父にNBAプレーヤーとして活躍する姿を見せることができる。

と言うのも、ロジアーの父親は殺人事件に関与した過失致死の罪で15年の実刑判決を受け、ようやく刑期を終えたのが今年の夏のこと。ロジアーは父からバスケットボールを教わったが、8歳からは父親抜きで育った。高校から大学、そしてプロへとステップする姿を、コートサイドで父に見てもらうのが彼の夢だった。

出所した父を迎えに行ったロジアーは、オハイオにある庭付きの一軒家をプレゼント。人生をやり直す機会を得た父について、ロジアーは、『Boson Herald』に「父が人生を歩むチャンスを得られてうれしい。僕がそばにいることを、父も分かってくれている」と語った。

ロジアーの父親はまだ保護観察下に置かれ、10月24日までオハイオ州から出られない。だから州外へ出る許可が下りたらすぐさまボストンに向かい、TDガーデンで試合を観戦するつもりだった。しかし、その前の10月6日に、息子のプレーを見るチャンスがやって来た。この日、オハイオのクイックン・ローンズ・アリーナで、セルティックスvsキャバリアーズのプレシーズンゲームが行なわれるのだ。オハイオ州のアリーナであれば、出掛けることは許される。

息子の試合を初めて観戦する父は、『Boson Herald』との電話インタビューで「感慨深い」と答えた。「土曜日が待ちきれない。息子がプレーする姿を初めて見ることができる。この話を人にすると、涙もろいと言われるんだ。だけど私は、息子のプレーを見ることと、家に帰れる日をずっと待ちわびていたんだから」

立派に成長した息子のプレーを見られるのは感慨深いだろうが、それは息子にとっても同じはず。おそらく、彼の時計は8歳で止まったまま。8歳の子供がバスケットボールをしていたら、そのプレーを父親に見てもらいたいと願うのは当然のことだ。ロジアーはその日を待ちわびていたに違いない。そのロジアーは、今シーズンもアービングの控えを務める予定だが、故障の多いアービングには定期的な休養が必要だ。そして何より、ロジアーは昨シーズンに先発を務められるだけの実力を証明している。それなりのプレータイムは確保できるだろうし、先発出場の機会もあるはずだ。

父に習ったプレーをベースに、世界最高峰のリーグでプレーできる選手にまで成長した。今週末、父はNBAのコートに立つ息子の姿を、万感の思いとともに見守る。そして、ロジアーの時計は再び動き出す。