川崎ブレイブサンダース

文=鈴木健一郎 写真=野口岳彦

強度の高いディフェンスで千葉の勢いを止める

船橋アリーナでの千葉ジェッツvs川崎ブレイブサンダースで、2018-19シーズンのB1リーグが開幕した。どちらも優勝候補、先出し開幕戦とあって強度の高いプレーが続く熱戦となったが、気持ちが噛み合った川崎と空回りした千葉、対照的な展開の末に川崎が81-72と勝利した。

試合は立ち上がりから両チームのタイトなディフェンスが目立つ展開に。それでも辻直人が鋭いステップワークでマークを振り切って3ポイントシュートを2本連続で決め、川崎が6-0と先行する。千葉は富樫勇樹がドライブで相手守備網を切り裂き、バスケット・カウントをもぎ取り反撃開始かと思われたが、なかなかシュートが決まらないことで、個々が「自分が何とかしなければ」と思う気持ちが空回りし始める。

こうして出遅れた千葉だが、川崎もディフェンスの激しさからファウルがかさみ、フリースローで立て直す。千葉は富樫に代わって入った西村文男がタフなディフェンスからトランジションバスケットの起点となり、逆に川崎はセカンドユニットになって勢いを保つことができない。それでも川崎は逆転されて20-26と突き放されかけた残り5分に篠山竜青と長谷川技をコートに戻すと、ディフェンスの強度が戻って千葉の勢いを止め、30-33まで持ち直して前半を終える。

そして後半に入ると川崎が一気に流れを引き寄せる。辻が速攻を決めて33-36と追い上げた後、堅守から再び走る展開に持ち込み、石井講祐のアンスポーツマンライクファウルを誘う。辻がフリースロー2本を決め、続くポゼッションで自らがシュートを放つと見せかけてシェーン・エドワーズへノールックのパス。これをダンクで叩き込んで川崎が37-36と逆転する。

ここで千葉は慌ててしまい、ミスからボールを失っては川崎に走られる、やりたいバスケットとは真逆の展開に。バーノン・マクリンは力で、エドワーズはスキルと間合いで千葉の堅守をこじ開け、辻と藤井祐眞がそれに呼応してチャンスを呼び込んでは得点に繋いでいった。

川崎ブレイブサンダース

苦しい時間帯をディフェンスで耐え抜いての勝利

ミスが出たのは川崎も同じ。チームの連携はまだ完成の域には達しておらず、不用意なターンオーバーが多かったが、それでもわずかな差ではあってもリードを保ち、精神的に余裕があったことで、大崩れすることはなかった。追いかける千葉はリバウンドから速攻に持ち込む得意の展開を出せず、次に頼りたい3ポイントシュートも22本中成功わずか4本(成功率18.2%)と不発。

追いかける千葉に勢いがってもおかしくない展開だが、川崎は篠山と藤井が思い切りの良いシュートを高確率で沈めて千葉に反撃のきっかけを与えない。さらにはシェーン・エドワーズのショットクロックぎりぎりで放ったタフショットが決まるなど、ツキも味方した。

終わってみれば81-72と川崎が快勝。川崎はニック・ファジーカスが夏に受けた足首の手術からの回復が遅れており、ベンチには入るもプレーせず。立ち上がりはシュートが入らずに苦しんだものの、最終的にはフィールドゴール60分中31本成功(51.7%)と上々の確率に。新外国籍選手のマクリンとエドワーズが強さと巧さを見せ、辻(20得点)、藤井(18得点)、篠山(10得点)とニック不在でもバックコート陣が決定力を発揮した。

それでも勝因はオフェンスではなくディフェンスだ。ファストブレイクからの得点は千葉の10に対し川崎は15と上回った。ベンチ登録10人、さらにはファジーカスが使えないという状況で、苦しい時間帯をディフェンスで耐え抜いた精神的な強さが、先出し開幕戦という大一番での勝利を呼び寄せたと言える。

明日の休養日を挟み、6日(土)にリターンマッチの第2戦が行われる。