Bリーグ記録を更新する1試合26リバウンド
3月16日、アルバルク東京はホームで秋田ノーザンハピネッツとチャンピオンシップ出場圏内同士による上位対決を実施。12月に敵地で対戦した際には手痛い同一カード連敗を喫したが、今回は79-69とリベンジを果たした。
この試合、第1クォーターはともにシュートタッチが良く、A東京の29-24とハイスコアのスタートとなったが、その後はともに持ち味であるタフなディフェンスを発揮したことで得点がなかなか伸びない展開となった。この息詰まる激闘で、最後にA東京が抜け出すことができたのはリバウンド争いで優位に立ったから。そして、その立役者となったのは18得点に加えBリーグ記録となる26リバウンドと、ゴール下を支配したセバスチャン・サイズだ。
4点リードの最終クォーター残り1分には10個目のオフェンスリバウンドからのセカンドチャンスで、勝利を決定づけるシュートをねじ込んだ。サイズは言う。「チーム全体で強い戦いをして勝つことができました。秋田さんにはアウェーで連敗しており、何がなんでも成績を五分に戻す気持ちでプレーしました」
そして、リーグ記録を樹立したリバウンドへの意識についてこのように続けた。「リバウンドの数が1つでも増えれば、チームの勝利をより助けることができます。毎試合、取れるだけ取っていきたい。これからもリバウンドをはじめ、自分の役割をしっかり遂行していきたいです」
「ロシター選手がいないことで、アレックスと僕で対抗しないといけない」
A東京は3月5日にライアン・ロシターが全治3週間から4週間となる怪我を負って離脱した。帰化枠のロシターがいるからこそ、チームは外国籍でサイズ、アレックス・カークの両ビッグマンに加え、司令塔のジョーダン・テイラーを獲得した。ロシターとの併用で、高さの不安なくテイラーを起用できていたこともあり、ロシターこそがタレント軍団のA東京において最も替えがきかない選手だ。サイズはロシター離脱の影響をこう語る。
「ロシター選手がいないことで、相手が常に外国籍ビッグマン2人を起用してくる中、アレックスと僕で対抗しないといけないです。そうなるとジョーダンのプレータイムが少し削られてしまいます。そこはチームで工夫しないといけません」
この問題を解決するには日本人選手のステップアップが不可欠だ。実際に2月までプレータイムが皆無だった吉井裕鷹が攻守で奮闘しているが、ロシターと同等のインパクトを求めるのは酷だ。そうなると必然的にサイズ、カークの負担は増えてくる。今回のプレータイムを見るとサイズは34分56秒、カークは今シーズン初の30分越えとなる32分45秒だった。
ここからリーグは水曜ゲーム、週末と週3日が、4月いっぱいまで続く過酷なスケジュールに突入する。「ビッグマンを水曜日と週末、週に3試合あるスケジュールで多くの時間使うのは危険です」と、指揮官のルカ・パヴィチェヴィッチもプレータイムが偏ることの弊害は十分に理解している。
ただ、サイズ本人は、「プレータイムについてはあまり考えていません」と言い、時間は増えても今までと同じ運動量でコートを駆け回っていく覚悟だ。「僕は若いですし、試合に出たらエネルギー溢れるプレーをするだけです。40分間プレーしてほしいと言われたら、そうするのみです。40分間ずっとエネルギーを出し切るメンタリティーで、すべての試合を全力でプレーして勝利に貢献するだけです」
ロシターの穴はもちろんチーム全体がステップアップして埋めるべきもの。しかし、カークは昨シーズン後半戦を故障欠場した経緯もあり、より長い時間のプレーには慎重にならざるを得ない。ここからの数週間、サイズが担う役割はより大きなものとなってくる。