「オファーをいただけると思っていなかったのでとても驚きました」
先日、WNBAのワシントン・ミスティクスとの契約を発表した富士通レッドウェーブの町田瑠唯が記者会見を行った。東京オリンピックでは1試合平均7.2得点、2.3リバウンド、12.5アシストと圧巻のパフォーマンスで世界を魅了した名ポイントガードが、女子バスケットボール世界最高峰のリーグでどんなプレーを見せてくれるのか大きな注目を集めており、会見には10台以上のTVカメラなど多くのメディアが集まった。
まず、会見の冒頭でこれからのスケジュールについて発表された。町田はWリーグのシーズン終了後、すぐに渡米してミスティクスに合流。そしてWNBAのシーズンが終わると、来シーズンのWリーグは富士通の選手として参戦する予定だ。また、WNBAにおける契約形態はルーキー契約となる。
「新しい挑戦で不安はありますが、とても楽しみにしています。自分の持ち味をしっかり発揮してチームに貢献できるように頑張っていきたいと思います」
第一声でこう語った町田は、ミスティクスからオファーが届いた時から、実際に挑戦を決意するまでの気持ちの変化を次のように振り返った。「もともとすごく海外に挑戦したい気持ちがあったかといえば、そうではなかったです。正直、オファーをいただけると思っていなかったのでとても驚きました。ワクワクして挑戦してみたい気持ちになりました。こういうチャンスはなかなかないので、やらない選択肢はないと思いました」
オリンピックであれだけのパフォーマンスを見せただけに、WNBAの舞台でも町田なら開幕当初から即戦力として活躍できると期待する声は多いだろう。しかし、本人はあくまで冷静だ。そして新たな環境で苦闘すること自体が成長の糧になると考えている。
「そんな簡単に上手くいくとは思っていないです。いろいろな壁に当たり、ボコボコにされることもあると思います。ただ、それも一つの経験で、そういった経験ができることも成功だと思います」
また、アシストで大きな注目を集めているが「アシストだけになってしまうと、本当に守りやすい選手になってしまいます。アメリカでもしっかりアタックして得点を意識していきたいです」と強調する。
オリンピックを経た今、町田にあこがれるバスケ少女たちはより増えている。「小さい選手でも通用するというのを証明したい」という気持ちはオリンピックの時と全く同じだ。「アメリカでもそういう気持ちでプレーしたいです。自分は小さいですが、それでも工夫をすれば活躍できることを伝えていきたいです」
もちろん今の町田が集中しているのは富士通でのWリーグ優勝だ。その後、WNBAでどんな活躍を見せてくれるのか、彼女らしい控えな物言いの中に熱い気持ちが垣間見え、より期待が大きくなる会見だった。