秋田ノーザンハピネッツは現在19勝12敗で、Bリーグになってから初のチャンピオンシップ出場を狙える位置につけている。元々定評のある前からプレッシャーをかけていく激しいディフェンスに加え、今シーズンはオフェンスも向上しているが、その立役者となっているのが新加入のジョーダン・グリンだ。エーススコアラーとして1試合20得点をコンスタントに挙げ、特に3ポイントシュートは今週のリーグ再開前時点で成功率がリーグトップ(48.0%)、成功数でリーグ2位(94本)を記録している。リーグ最強の長距離砲の使い手として活躍する大黒柱に、シーズン後半戦に向けての意気込みを聞いた。
「自分にとって正しいチームにいることができて良かった」
――昨シーズン、グリン選手はB2のライジングゼファー福岡でプレーしていました。B1に舞台が変わっても、B2時代と同じ質の高いプレーを続けています。B2とB1の違いで、アジャストするのに苦労したことはなかったですか。
特にはないです。大きな違いとして、B1はチャンピオンシップを狙えるチームが多くあってより競争が激しいです。また、日本人選手たちはB2に比べてサイズがあります。B1の方が、組織としてまとまっていて一体感のあるチームが多い印象です。ただ、バスケットボールのスタイルに関して大きな違いはないと思います。僕は相手のビッグマンにマッチアップしてポストアップから攻めたり、ブロックしたりとゴール下でやり合うのではなく、アウトサイドから攻めていくスタイルです。だから、自分のプレーに関してやるべきことに違いはないです。強いて言うなら、インサイドにアタックした時、守ってくる相手のサイズが大きくなっているところです。
――これまで主に中南米のクラブでプレーしてきましたが、Bリーグについての印象を教えてください。
中南米の方がよりフィジカルな選手が多いです。ラフではないですが、試合は激しいですね。Bリーグもフィジカルな選手がいますが、全体としてより冷静で正確なプレーをしていると思います。コンタクトに対する審判の笛や、試合のペースに違いがあります。また、ファンの皆さんの気質も違いますね。日本の皆さんはブーイングをすることなく、選手たちのプレーに拍手をしてくれる。みんな試合を見ることを楽しんでいる。会場の大小にかかわらずその雰囲気は好きです。
入団する前から秋田にはバスケットボールを好きな人が多く、チームを熱狂的にサポートする『クレイジーピンク』と呼ばれる多くのファンの方たちがいることは知っていました。実際、試合ではいつも皆さんの応援にチームは勇気づけられています。それにアウェーゲームにも少なくないファンの皆さんがいます。ピンクカラーの人たちを遠征先の会場でも見られるのは素晴らしいです。
――昨シーズン終了後、B1の秋田からオファーがあった時はどんな気持ちでしたか。驚きはありましたか。
サプライズではなかったです。昨シーズン、福岡でのラストゲームでケンゾー(前田顕蔵)が試合を見に来てくれていました。そして試合後に会って少し話しをした時、僕に興味を持ってくれていました。そこで自己紹介をしていたので、秋田からオファーが来た時はそんなに驚きはなく、予想していた部分でもありました。自分にとって正しいチームにいることができて良かったです。
好物は「かぼちゃスープとコーンスープ」
――Bリーグも2シーズン目となります。日本での暮らしはすっかり慣れましたか。
2年目なので、自分の仕事としてやるべきことについて慣れました。秋田は1年目ですが、福岡の時と大きな違いはないです。秋田の冬は間違いなく寒いです。僕はアメリカ南部のテキサス出身なので、こういう気候に馴染みはないです。ただ、多くの人から秋田は寒いとは聞いていましたし、かつてデンマークでプレーしていたことはあるので、寒さの経験はありました。練習などで外出する時はちょっと寒くて辛いですけど、特に問題はないです。
――日本に来てからお気に入りの食べ物は見つかりましたか。
かぼちゃスープとコーンスープですね。食事に行った時、メニューにあったらいつも2杯か3杯、飲んでいます。昨年、初めてコーンスープを飲んだ時にとても美味しいと思いました。ただ、ある時コーンがなくて変わりにかぼちゃのスープを頼んだら、コーンより美味しかった。それ以降、どちらかを頼むようにしています。
――ここまでのチームのパフォーマンスをどのように評価しますか。
シーズン初戦から徐々に良くなっていると思います。みんなコーチが導入した新しいシステム、新たな役割に慣れていっています。最初は何が良くて、何がいけないプレーなのか学びの段階でした。そういった経験を経てチームは良くなっています。試合の最後をうまくプレーできず、いくつか勝つべき試合で負けてしまったこともありました。ただ、それもバスケットボールの一部です。そういったミスから学ぶことでチームは成長できています。
ディフェンスは高い意識で集中できています。オフェンスも3ポイントシュートは昨年よりも良くなっています。多くのチームは以前のように秋田に対して引いて守ることはできないようになっています。その点についてリーグからリスペクトを得られるようになっていると思います。まだ、多くの試合が残っていて、シーズン折り返しの時点での成績は昨シーズンとほとんど変わりません。僕たちはまだまだ多くの伸び代があります。やるべきことに集中して、成長を続けて勝ち星を増やしていきたいです。
――グリン選手自身のプレーについて、どんな手応えを得ていますか。
自分のパフォーマンスについて良いプレーができていると思いますが、完璧ではないです。多くのエリアで改善できるところはありますが、シュートはよく打てています。ミスを修正し、チームメートからいろいろと学んでさらに成長していくだけです。
――攻撃において、エーススコアラーの役割を担っていますがプレッシャーはありますか。
チームが僕にシュートを打って得点を取ることを期待しているのはわかっています。昨シーズンの福岡はエースとしてプレーする初めてのシーズンでしたが、この経験があって慣れることができました。キャッチ&シュートなど、どんな形からでも3ポイントシュートを決める。昨年の経験を生かしてオフェンスのスキルをより開花させ、これまでのプロ生活の中でもよりアグレッシブにシュートを打つようになっています。
今は、自分に余計なプレッシャーをかけることはせず、多くのシュートを打つことが役割と思ってプレーしています。シュートが入れば僕もチームもハッピーです。ただ、シュートが入らなかったら、他のプレーでチームに貢献する方法を探すだけです。チームメート、コーチを信じて自分のプレーを続ける。あとは冷静さを保ち、ベストを尽くすだけです。
「ディフェンスが接戦を勝つ助けとなってくれます」
――年齢も上であり、チームリーダーとして意識することはありますか。
年齢でいうとフル(古川孝敏)が最年長で、次はコルトン(アイバーソン)と僕です。僕たちはベテランで、特にキャプテンのフルを若手選手たちは頼りにしています。彼はチームを鼓舞してくれて、ヘッドコーチと同じくみんなの兄貴分です。若い選手たちがプレーしやすいようにしてくれていますね。
――これから強豪との試合も増え、タフな日程となります。その中でチャンピオンシップ出場を達成するために鍵を教えてください。
僕たちのディフェンスのスタイルを継続していくことです。リーグのみんなは、特に3ポイントシュートが入る時、僕たちがとても危険なチームであることは分かっていると思います。引き続き、まずディフェンス第一のマインドセットで、フィジカルで激しいプレーを続けていく。そしてリーグ上位で、同じくチャンピオンシップ進出を争うチーム相手にも失点を65点、66点くらいに抑えたいです。良いディフェンスをすることにプライドを持ち、相手にオフェンスリバウンドを与えず、得点チャンスの機会を減らしていく。すべての試合でシュートの確率が良いことはないですが、すべての試合で良いディフェンスをする。オフェンスの調子が悪い時は、ディフェンスが接戦を勝つ助けとなってくれます。
――最後にファンへのメッセージをお願いします。
ファンの皆さんのサポートには、いつも本当に感謝しています。ホームゲーム、アウェーゲームの両方でこれから皆さんの声援は、シーズンを良い形で終えるために必要です。僕たちは普段の練習からやるべきことを続け、試合で可能な限り勝てるように成長を続けていきます。それによってファンの皆さん、秋田の街をハッピーにしていきたいです。これからのサポートもお願いします。会場で会いましょう。
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