逆転に至った後半のプレーに手応えを得た指揮官
バスケットボール男子日本代表は、ワールドカップ予選Window2の初戦でチャイニーズ・タイペイと激突。前半は劣勢となるが後半にカムバックし76-71と逆転勝ちを果たし、3試合目にしてこの予選初勝利を挙げた。前半の日本は単発なオフェンスが続き、自分たちのリズムでほとんどプレーできなかったが、特に第4クォーターで27-18と突き放すなど、後半にしっかり立て直すことができた。
トム・ホーバスは男子日本代表ヘッドコーチとしての初勝利に「まだ改善しなければいけないところはありますが、勝ててハッピーです」と安堵の表情を見せる。
前半と後半で好対照なプレーとなった日本だが、その理由を次のように分析する。「試合の出だしは、みんなが少しナーバスになっていました。多くの3ポイントシュートを放ちましたが、前半はいつものリズムで打てていなかったです。また、チャイニーズ・タイペイはとてもアグレッシブなディフェンスをしてきて、動きが速かったです。それもあって私たちのリズムは崩れました」
一方、後半については「落ち着いてプレーできました」と、冷静になることで自分たちのやるべきプレーができたと評価する。「前半は1on1からの3ポイントシュートがとても多く、それは私たちがやりたい形ではないです。後半は、多くのボールムーブメント、カット、ペイントアタックをして3ポイントシュートを打つことができました。ドライブからのキックアウトからなど良いシュートを放つことで、試合をよりコントロールできるようになりました」
その結果、ホーバスが目指すオフェンスが展開できた。「後半に限れば、3ポイントシュートの成功率は46%で満足しています。また、とてもハッピーなのは21本のフリースローを獲得したことです。それはペイントアタックしていたことを示しており、このバランスを私たちは必要としています」
「素晴らしいプレーでした」とハッスルプレーを貫いた佐藤卓磨を称賛
また、指揮官は「西田(優大)、富樫(勇樹)がスマートにアタックし、ルーク(エヴァンス)が相手のビッグマンを抑える良い仕事をしてくれました」と言及。ゲームハイの27得点を挙げた西田、第4クォーターにビッグショットを決め8得点5リバウンド4アシストの富樫、35分以上プレーして17得点12リバウンド4アシストと奮闘したエヴァンスを称えた。
さらにホーバスが「素晴らしいプレーでした」と絶賛したのが、3ポイントシュート3本成功に加え、ルーズボールに積極的に絡むなどスタッツに出ない部分での貢献も光った佐藤卓磨だ。
「私たちがまさに必要としていたプレーをベンチからしてくれました。彼は1on1からの得点を狙うのではなく、リバウンド、タフなディフェンスをして、オープンからのシュートを決めました。彼は自分の役割を分かっています」
明日の相手は、前日にチャイニーズ・タイペイを圧倒したオーストラリアだ。今日よりもさらにステップアップしなければ、勝負に持ち込めないのは明らかであり、今の日本代表の立ち位置を測ることができる絶好の機会とホーバスは言う。
「明日は、サイズ、リーチの長さなど今日とは全く違うチャレンジです。私たちのスピード、パッシング、カッティングがどこまで通用するのかのよいテストになります」
そして何よりも指揮官が重視するのは、強い気持ちだ。ホーバスとともに記者会見に出席したエヴァンスが「明日ドッグファイトになります」と語ったように、サイズ、フィジカルで上回る相手に対しても積極的に攻めないといけない。
「もちろん、リバウンドを改善しないといけない。そしてスタートから相手のサイズに躊躇せず、アタックしてくれることを望んでいます」。このホーバスの期待に選手がしっかり応えられることができれば、日本にも勝機は必ず訪れるはずだ。