代表スタイルへのフィットに自信「すごくやりやすい」
茨城ロボッツの谷口大智はバスケットボール男子日本代表候補に選出され、今週末のワールドカップアジア地区予選のWindow2に向けて調整を行っている。
洛南高時代に比江島慎らとともにウインターカップ3連覇を成し遂げた谷口はU15、U18と世代別の代表に選出された。2017年にも日本代表候補に選出され、重点強化合宿に参加した。そのため、久しぶりの代表選出の気持ちを問われ「率直に言うとびっくりしました」と谷口が語ったのも無理はない。それでも、「その反面、楽しみでワクワクしている部分も大きいです」と31歳での代表選出に心を躍らせている。
トム・ホーバスヘッドコーチは3ポイントシュートを多投し、高速トランジションで世界と戦う。201cmのビッグマンながらアウトサイドシュートを苦にしない谷口はこのホーバスが目指すスタイルに合うはずだ。実際に谷口も「すごくやりやすい」と言う。「外から入らないと、どうしてもインサイドプレーヤーが中に残ってしまいスペースができません。それをさせないという意味でも、5アウトはやりやすいです。僕自身が外から決めることによってチームとしてボールがよく動くように感じます」
Bリーグでは外国籍選手がチームの中心を務めることが多く、とりわけ日本人ビッグマンはプレータイムが伸びない傾向が強い。オン・ザ・コート1が適用されていたBリーグ初年度は20分弱のプレータイムを得ていた谷口だが、常時オン・ザ・コート2となって以降は平均プレータイムが10分を超えていない。今シーズンも6.6分だけの出場だが、3ポイントシュート成功率は40.8%を記録し、貴重なロールプレーヤーとして存在感を見せている。
代表では3ポイントシュート試投数の増加が予想されるが、ホーバスヘッドコーチに「ボールを持ったら全部打つくらいの気持ちでやってほしい」と言われたことで、思い切りよくシュートが打てているという。当然ながら、3ポイントシュートが入れば、相手ディフェンダーは外まで出てこなければならない。自身の役割を明確に理解している谷口は「シュート力でディフェンスを引っ張り出してスペースを空ける。ここまできて迷っている場合じゃないので、責任を持って打ち切ろうと思います」と意気込んだ。
男子日本代表が世界と対等に戦うためには戦術を変えるだけでは足りない。普段の練習から世界を意識し、日の丸を背負う覚悟を持つなど、根本から変える必要があり、ホーバスコーチは『文化』を変えるチャレンジをしている。谷口はホーバスコーチの本気度を目の当たりにし、心が動かされたという。
「代表だからといってクールなのではない。『もっと必死になって今の男子代表のカルチャーをブチ壊して、新しいカルチャーを作らないといけないんだ!』と練習中に叫ばれた時は結構ゾクッとしました。しっかり怒っていました」
ホーバスコーチが新指揮官となり、男子日本代表の改革は始まった。マインドセットも含めた新たなスタンダードを構築し始めたこのタイミングで、谷口が代表に復帰したことは何か意味があるはずだ。