レブロン・ジェームズ

決勝シュートは「ジョーダンからインスパイアされたフェイダウェイさ」

クリーブランドで行われたNBAオールスターで主役を演じたのは、レブロン・ジェームズだった。地元開催のオールスターとあって、レブロンが入場する際には彼がキャバリアーズにもたらした2015-16シーズンのNBA優勝バナーにスポットライトが当てられた。コートに出てきたレブロンはチョークをたっぷりと手に取り、宙へと舞い上げる。そのすべてにファンは大歓声を送り、誰よりもレブロン自身がその瞬間の一つひとつを楽しんでいた。

レブロンは36分間のプレーで24得点6リバウンド8アシストを記録。ステフィン・カリーの3ポイントシュート連発をアシストする側に回ったが、最後の見せ場は譲らなかった。161-160で迎えたラストプレーは、観客の誰もが期待するレブロンのポストアップ。オフェンス合戦のオールスターも終盤は真剣勝負の雰囲気となり、ターゲットスコアの163点を前に緊迫した展開となっていた。

レブロンはデマー・デローザンにボールを要求し、ザック・ラビーンとの1on1に持ち込む。相手もレブロンで勝負してくることは百も承知で、レブロンが仕掛けるタイミングを見計らってジョエル・エンビードがシュートチェックに飛び込んだ。それでもレブロンはターンアラウンドから片足でのフェイダウェイを選択。詰めるエンビードのブロックを避けて放った高い軌道のシュートを見事に決めた。

「25年前、僕が11歳か12歳の時にここでオールスターが行われた。それを見て大きな刺激を受けたんだ。家族や友人、僕の成長を見守ってくれた人たちの前でオールスターのゲームウィナーを決めるなんて、これ以上のことは想像できないよ」と、レブロンはこのシーンを振り返った。

NBA75周年の記念式典も行われ、75人のレジェンドが一堂に会した。レブロンもその一人として、彼らと同じ舞台に立ったことに大きな感慨を持っている。「僕は多くの選手たちに刺激をもらって成長してきた。アレン・アイバーソン、ジェイソン・キッド、ゲイリー・ペイトン、もちろんマイケル・ジョーダンやマジック・ジョンソン、オスカー・ロバートソンもね。彼らと同じ舞台に立てたことは言葉では表現できない。信じられない気持ちだ」

その中でも『GOAT』(史上最高の選手)として比較されるマイケル・ジョーダンについても語っている。「試合後は大混乱だったけど、子供の頃からずっと見てきたMJ(ジョーダン)と握手する機会を逃したくはなかった。これまでのキャリアで多くの会話を交わしたわけじゃないけど、彼からもらった刺激なくして今の僕はない。僕は彼のような選手になりたいと思ってここまでやってきた。今日のゲームウィナーも、MJからインスパイアされたフェイダウェイさ。シューズをどう履くか、ウェアをどう着るかまで見てきた。彼からは本当に多くを学んできたんだ。同じ場所にいることはほとんどないから、この機会を失いたくはなかった」

そして、かつてのジョーダンがそうしたように『NBAの顔』としてリーグを引っ張っていく自覚を「責任重大だ」と言いつつ、背負う覚悟は十分にできている。「僕より前に誰かがやってきたことだ。現状を維持し、さらに良くするために僕がこのポジションにいる。最大限の敬意を持ってNBAを代表するつもりだ」

「多くの人々が刺激を必要としている。このリーグに新しく入ってきた選手たちに『子供の頃からレブロン・ジェームズにあこがれていた』と言われるのは素晴らしいことだよ。そう考えると、僕はただバスケをプレーするだけじゃなく、もっと多くのことをやらなきゃいけないと思う」

37歳にして今もなお現役最強であり続けるレブロンは、この先も『生きる伝説』としてNBAを引っ張っていく。